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ナムジャイブログ

2020年08月17日

クラウドファンディングは性善説ツール?

 クラウドファンディングを再びはじめて1週間がすぎた。
https://a-port.asahi.com/projects/sazanpen_teacher/
 昨年、僕はクラウドファンディングを企画した。僕が運営にかかわっているバングラデシュ南部、コックスバザールの小学校にかかわるものだった。築30年をすぎた校舎は老朽化が進み、生徒が学ぶには危ない環境になっていた。本格的な修繕が必要だったが、僕らにはその資金がなかった。
 校舎修復プロジェクトはこうしてはじまった。多くの方が協力してくれた。総額で200万円を超える資金で、校舎の修復にとりかかった。修復工事の方法の違いに戸惑いながらも、昨年末には工事はほぼ終了。細かい部分の整備が完全に終わったのは今年の1月末のことだった。
 そのころから新型コロナウイルスの感染が広まりはじめてしまった。バングラデシュも感染者が増え、3月末に学校の休校措置が政府から出された。その休校はいまも続いている。
 僕らが運営にかかわる小学校は私立学校ということになる。政府の学校と違い、先生たちの給料は補償されなかった。それまで9人の先生の給料は、その約半分を日本側が負担し、残りの半分は、余裕のある家から、1ヵ月100円ほどの授業料を受けとってまわっていた。学校が休校になり、授業料がなくなった。先生の給与は半減してしまった。
 もともと先生たちの給料は満足な額ではなかった。先生たちは自分で塾を開いたり、NGO系の店舗で働くなどして生活費を補っていたが、それもコロナ禍で止まってしまった。
 30年、学校で教えてきてくれた生活を守りたかった。しかし資金はない。昨年、修復プロジェクトを終えたばかりである。再びクラウドファンディング? 「また?」といわれることはわかっていた。
 コロナ禍がわかっていたら、修復の材料費をもっと削り、資金をキープしておくべきだった。しかしどうすることもできなかった。
 かなり悩んだ。世界では多くの人がコロナ禍のなかで苦しんでいる。日本人も同様だろう。そのなかで学校の先生の生活を守るプロジェクトをどれだけの人が理解してくれるだろうか。
 クラウドファンディングがはじまって1週間。さまざまな意見をいただいた。
「きっとわかってくれますよ」
 と励まされ、
「周りの人は皆大変なので、拡散することはできません」
 という言葉に自戒する。
 前回、クラウドファンディングをやったとき、このシステムは、人を性善説に傾かせる装置ではないかと思った。見知らぬ人に支えあっれてプロジェクトを進める……いまはそれが甘えにも映る。
 まだ悩んでいる。援助を受けとるということは、どんな形にせよ、つらいことだ。

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○クリックディープ旅=沖縄の離島のバス旅がはじまります。
○旅をせんとやうまれけむ=つい立ち止まってしまうアジアのいまを。
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Posted by 下川裕治 at 12:10│Comments(0)
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