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ナムジャイブログ

2021年07月19日

国境封鎖のなかで「国境旅」

『「裏国境」突破 東南アジア一周大作戦』(朝日文庫)が発売になった。タイのバンコクを起点にカンボジア、ベトナム、ラオス、ミャンマーを陸路で巡った。マイナーな国境を越えていく旅である。
 本が発売になって、こういうことをいうのはなんだが、この本で越えた国境のすべてがいま、封鎖されている。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためである。そこにミャンマーのクーデターも加わった。
 空港からの出入国も制限されているが、どうしても行かなくてはいけない事情がある人もいる。それに比べると、陸路国境にはその役割が薄いということなのだろう。感染初期の段階から国境は閉められた。おそらく1年以上、人や物資の往来は制限されている。もっともアジアは国境を挟んで両側に家族や親戚がいるところが多い。地元の人の行き来はあると思うが。
 この本の発行は感染が拡大する前から決まっていた。国境封鎖はマイナス材料だが、僕の本はガイド色が薄い。読み物の要素が強いから、国境閉鎖はあまり影響を受けないようだ。売れ行きも悪くないという話に胸をなでおろす。
 この旅のきっかけになったのはミャンマーだった。暗く孤立した軍事政権の時代が終わり、民政化が進むなかで、いくつかの国境が開いていった。外国人も自由に往来できるようになった。開かれた国境というものは、軍事政権とは相性が悪いものらしい。
 ところがそれから8年ほどがすぎ、ミャンマーは再び軍事政権に戻っていこうとしている。国軍のクーデターを多くの国民は受け入れていないが、彼らは周囲の声を聞こうとはしない。
 そのなかで、ミャンマーでの感染者が急増している。医療体制は崩壊し、病院は満床状態。自宅隔離しかなく、犠牲者は日を追って増えている。火葬場には順番を待つ長い列ができているという。
 日本はコロナ禍でのオリンピックである。僕はあまり関心がないので、通常の日々だと思っているが、そうもいかない。明日、19日は休みかとばかり思っていた。卓上カレンダーもそうなっている。しかし、オリンピックに合わせて休日が変更になっていた。カレンダーが印刷された後の変更だった。
 19日は平日ということで、ゲラの戻しが19日になってしまった。印刷所が22日と23日を休むため、19日に戻さないと本が出ないと出版社からいわれた。
 今日は朝からゲラと格闘である。
 前からいっているが、オリンピックで盛りあがるのは限られた国にすぎない。世界の半数以上の人が無関心で、オリンピックが日本で行われることを知らない人も多い。
 オリンピックに反対はしないが、基本的にはアスリートのものだ。国家は無縁である。世界の人々が注目していると思わないほうがいい。ましてやコロナ禍の大会である。日本は場所を提供する意味合いが、通常のオリンピック以上に強くなっている。
 もう少し淡々と進められないのだろうか。オリンピックを前に気が重い。

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Posted by 下川裕治 at 12:43│Comments(0)
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