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ナムジャイブログ

2021年09月06日

厚生労働省に電話をかける

 ここ1ヵ月の間に3社の総務担当から電話をもらった。地方都市にある知らない会社だった。どの会社も駐在員をインドネシアやタイに送っていた。
 運営するYouTubeで、日本に一時帰国して接種するワクチン情報を載せていた。そのデータ集めはバンコクの知人に依頼していた。その知人を通して、僕の連絡先がわかったらしい。連絡がくることはわかっていたが、知らない社名を告げられると、少し戸惑う。
 訊かれるのは当然、日本でのワクチン接種の話だった。
 日本は海外に住む日本人へのワクチン接種を空港で行うことになった。海外でのワクチン接種の進み具合はまちまちだ。インドネシアやタイは日本よりやや遅れている。接種するワクチンも、中国製のシノバックやアストラゼネカがだった。それを嫌う海外駐在員は少なくなかった。そんな時期、現地でデルタ株のまん延がはじまる。日本でワクチン接種ができないか……そんな意向を受け、海外からの便が着く成田空港と羽田空港でワクチンを接種することになった。ファイザー社のワクチンだった。
 しかし手続きは煩雑だった。日本大使館のサイトから、ワクチン接種予約していく。そこまでは外務省の管轄。実際にワクチン接種については、厚生労働省になる。
「どういう証明書がもらえるのか」
「インドネシアでアストラゼネカを1回接種したが、2回目を日本で接種できるのか」
 そんなとき、僕に電話をかけてくる。各省庁に電話をすればいいだけのことだが……。
「一回外務省に電話をかけたんですが、うまく説明できなくて……。なにか気後れしてしまうというか、緊張するというか。だいたいこれまで外務省に電話をしたことなんてなかったですから」
 ひとりがそういった。彼らに頼まれて、ワクチン接種証明書について問い合わせた。厚生労働省ではわからず、結局、内閣官房に電話をかけることになった。これはちょっと大変かもしれないと思った。
 新聞社に入社したての頃、各省庁に電話をかける前は緊張した。頭が切れるエリート官僚がでたらどうしようか、などと……。
 なんとか問い合わせを終えて受話器を置くと、近くにいた先輩からこういわれた。
「言葉遣いが丁寧だよ。遠慮してる。あいつらは、俺たちの税金で生きてるんだ。もっとがんがんいっていいんだよ」
 言葉の背後には、(お前はなめられているぞ)という響きがあった。
 仕事をこなしていくうちに、記者は警察や役人など公務員とのつきあうが実に多いことを知っていく。
 しかしそれは記者だったからで、一般の人は外務省や厚生労働省、ましてや内閣官房などといった公官庁に電話をかけることはそう多くない。
 それが新型コロナウイルスという病気の特殊性だろう。対応が混乱し、間に合わず、直接に東京の公官庁に電話をかけなければならなくなる。その内容はさらに複雑になっていく。あと半年は……。


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Posted by 下川裕治 at 16:17│Comments(0)
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