2022年07月11日
コロナ禍の先に待ち構えていた危機
6月にバングラデシュに行ってきた。コロナ禍で入国が難しかった。3年ぶりである。
僕はバングラデシュ南部のコックスバザールにある小学校の運営にかかわっている。バングラデシュは国の方針で、全学校の休校が2年近くつづいた。ようやく学校を開くことができた。問題が山積していることはわかっていた。
この小学校の先生の給料の半分ほどを僕らが受けもっている。寄付やクラウドファンディングで集まったお金を送っている。
残りの半分は、授業料でまかなわれる。学校は仏教寺院の敷地内にある。やってくるのは貧しい家庭の子供たちが多い。余裕のない家の子供からは授業料をもらっていないが。
コロナ禍で休校がつづいた2年間は、授業料収入も途絶え、さして多くもない僕らからの支援でなんとかしのいでもらった。
ところが今回、学校に行くと、深刻な現実を突きつけられた。コロナ禍前は140人ほどいた生徒が半減してしまっていた。学校に戻ってこないのだ。授業料の問題ではない。余裕がなければ無料で授業を受けられることを親や子供は知っている。訊くと、「親が学校へ行け」といわないようなのだ。
「休校中は親の手伝いをする子が多かった。そういう生活が定着しちゃったんです。2年も休校がつづいたんですから。学校へ行かずに育った親も多いんです。そういう親のなかには学校の大切さがわかっていない人もいるんです」
先生のひとりが教えてくれた。
日本の居酒屋の店主は、客が戻らないと嘆く。どこか似てもいるが、居酒屋と学校を同列に語ることはできない。
バングラデシュの景気は悪くない。ミャンマーでクーデターが起き、拠点をバングラデシュに移した企業も少なくない。そのなかで急速に格差社会が進んでいる。そこで必要になるのが教育である。途上国が抱える貧困の連鎖を断ち切っていくとき、教育の果たす役割は大きい。「学校へ行かなくてもいい」と思ってしまう親のなかに巣食う貧困。コロナ禍はそれを引きずり出してしまった。
いくつかのアイデアは出ている。「給食をはじめたら?」「その資金はどうする?」。先生たちとの話は空転する。
追い打ちをかけている問題がある。物価高である。価格の高騰は経済的に脆弱な世界を直撃してしまっている。
どうしたら生徒が戻ってきてくれるだろうか……と悩む先生たちの生活も苦しくなってきているのだ。
僕らは継続的なクラウドファンディングをつづけている。
https://community.camp-fire.jp/projects/view/501440
月1000円の支援である。自分のブログで、その紹介をするのは気が引けるが、正念場という思いがある。学校を潰してはいけない。
日本人の生活も苦しい。僕自身も旅の本の出版が遅れに遅れている。しかしバングラデシュでは、1000円の価値はまだ日本より高いことを知っている。
コロナ禍の先に待ち構えていた危機。なんとか乗りきらなくてはいけない。先生たちのメッセージを、これから毎週、僕らが運営するユーチューブ
https://www.youtube.com/channel/UCgFhlkMPLhuTJHjpgudQphg
で紹介していく。
■YouTube「下川裕治のアジアチャンネル」。
https://www.youtube.com/channel/UCgFhlkMPLhuTJHjpgudQphg
面白そうだったらチャンネル登録を。
■noteでクリックディープ旅などを連載。
https://note.com/shimokawa_note/。
○旅をせんとやうまれけむ=つい立ち止まってしまうアジアのいまを。
○アジアは今日も薄曇り=コロナ禍の海外旅行を連載中。
■ツイッターは@Shimokawa_Yuji
僕はバングラデシュ南部のコックスバザールにある小学校の運営にかかわっている。バングラデシュは国の方針で、全学校の休校が2年近くつづいた。ようやく学校を開くことができた。問題が山積していることはわかっていた。
この小学校の先生の給料の半分ほどを僕らが受けもっている。寄付やクラウドファンディングで集まったお金を送っている。
残りの半分は、授業料でまかなわれる。学校は仏教寺院の敷地内にある。やってくるのは貧しい家庭の子供たちが多い。余裕のない家の子供からは授業料をもらっていないが。
コロナ禍で休校がつづいた2年間は、授業料収入も途絶え、さして多くもない僕らからの支援でなんとかしのいでもらった。
ところが今回、学校に行くと、深刻な現実を突きつけられた。コロナ禍前は140人ほどいた生徒が半減してしまっていた。学校に戻ってこないのだ。授業料の問題ではない。余裕がなければ無料で授業を受けられることを親や子供は知っている。訊くと、「親が学校へ行け」といわないようなのだ。
「休校中は親の手伝いをする子が多かった。そういう生活が定着しちゃったんです。2年も休校がつづいたんですから。学校へ行かずに育った親も多いんです。そういう親のなかには学校の大切さがわかっていない人もいるんです」
先生のひとりが教えてくれた。
日本の居酒屋の店主は、客が戻らないと嘆く。どこか似てもいるが、居酒屋と学校を同列に語ることはできない。
バングラデシュの景気は悪くない。ミャンマーでクーデターが起き、拠点をバングラデシュに移した企業も少なくない。そのなかで急速に格差社会が進んでいる。そこで必要になるのが教育である。途上国が抱える貧困の連鎖を断ち切っていくとき、教育の果たす役割は大きい。「学校へ行かなくてもいい」と思ってしまう親のなかに巣食う貧困。コロナ禍はそれを引きずり出してしまった。
いくつかのアイデアは出ている。「給食をはじめたら?」「その資金はどうする?」。先生たちとの話は空転する。
追い打ちをかけている問題がある。物価高である。価格の高騰は経済的に脆弱な世界を直撃してしまっている。
どうしたら生徒が戻ってきてくれるだろうか……と悩む先生たちの生活も苦しくなってきているのだ。
僕らは継続的なクラウドファンディングをつづけている。
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月1000円の支援である。自分のブログで、その紹介をするのは気が引けるが、正念場という思いがある。学校を潰してはいけない。
日本人の生活も苦しい。僕自身も旅の本の出版が遅れに遅れている。しかしバングラデシュでは、1000円の価値はまだ日本より高いことを知っている。
コロナ禍の先に待ち構えていた危機。なんとか乗りきらなくてはいけない。先生たちのメッセージを、これから毎週、僕らが運営するユーチューブ
https://www.youtube.com/channel/UCgFhlkMPLhuTJHjpgudQphg
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■YouTube「下川裕治のアジアチャンネル」。
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○アジアは今日も薄曇り=コロナ禍の海外旅行を連載中。
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Posted by 下川裕治 at 15:13│Comments(0)
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