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ナムジャイブログ

2022年09月05日

「えー」と「あのー」を直せといわれても

 かつてネット社会の姿は輝いて見えた。さまざまな情報を瞬時に安い料金、いや無料で手に入れることができる──。そういう世界に映った。たしかに僕はそんな便利な社会を享受しているのだが、その発信側になることもある。すると、そこで問われるのは器用さであり、地味な世界を粛々とすすめることができる忍耐力だと気づかされる。
 僕は知り合いのカメラマンとYouTubeをやっている。そのなかで、航空券の選び方を僕が解説することになった。スカイスキャナーという検索サイトを見ながら、僕が語るのだが、編集をしてくれるカメラマンから、
「下川さんの癖で、「えー」とか「あのー」というところが気になります。見ている人はそこでやめてしまうかもしれない。それを削れば5分ぐらい短くなる気がします。でも編集で削るには時間がかかる」
 航空券の運賃はめまぐるしく変わっていくから、できるだけ早く公開したほうがいいということから、「えー」や「あのー」を残したまま、今日、以下をアップした。
https://www.youtube.com/watch?v=RNXiOXIgDmw
 聞いてもらえばわかるが、自分でも驚くほど「えー」とか「あのー」が多い。30分弱の動画で、5分近くも「えー」とか「あのー」といっているらしい。
 しかしそれを今後、直せといわれても、そう簡単ではない気がする。それは口癖。僕はそんなに器用ではない。そもそも人前で話すことが苦手だから、部屋にこもって原稿を書く仕事を選んだようなところもある。テレビのキャスターのようにさくさくと口はまわらないし、そんな訓練も受けていない。
 ネットはさまざな表現手段を僕らに提供してくれたが、その結果、訓練を受けていない素人が動画をこなさなくてはいけないという環境をつくってしまった。YouTubeも自分たちでなんでもしなくてはならない。経費を払って編集してもらえば別なのだろうが、そんな資金もない。
 1週間ほど前、kindleで電子版の本を発売した。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0B9XMHCKP?ref_=pe_3052080_276849420
 今日、編集を手伝ってくれる知人が申請したので、PODという、電子書籍を紙に印刷して送ってくれるサービスが近々はじまることになる。こういう世界に詳しい人に相談してみた。
「PODがはじまったら、SNSとかYouTubeでどんどん宣伝しないとダメですよ。埋もれちゃいますから」
「それって誰がやるんです」
「下川さんしかいないでしょ」
 本の宣伝担当も自分に降りかかってくる。出版社には宣伝の担当がいるから、本が出版されたら、その先は彼らに任せればよかったのだが、kindleで発売するとすべて自分なのだ。ネット社会というものは、器用にことをこなしていく能力を要求する。しかしその能力は、時間をかけ、原稿用紙を埋めていく能力とはまったく異質だ。
 それが皆が目の色を変えて飛びついたインターネットの世界というものなのか。
 まずは「えー」とか、「あのー」と口にしない訓練。そんなことができるのか……。


■YouTube「下川裕治のアジアチャンネル」。
https://www.youtube.com/channel/UCgFhlkMPLhuTJHjpgudQphg
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○アジアは今日も薄曇り=コロナ禍の海外旅行を連載中。
■ツイッターは@Shimokawa_Yuji




Posted by 下川裕治 at 15:16│Comments(1)
この記事へのコメント
えー、あのー、私も気になる方です。有名なyoutuberはそれもすべてカットしているようです。
また日本人男性に多いのが、シーと音を立てて息を吸うことです。
えーと、これなんですが(シー)、値段はいくらするんでしょうねー(シー)、ちょっと聞いてみましょう(シー)。50バーツだそうです。
Posted by がちょん at 2022年09月05日 15:37
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