2022年12月19日
『歩くバンコク』はいつもバンコクに助けられる
『歩くバンコク』の2023年版が発売された。コロナ禍で2年間、発行することができなかった。3年ぶりの『歩くバンコク』である。
いま、バンコクにいる。95冊の本をもってきた。制作にかかわってくれた人たちに手渡している。
『歩くバンコク』の創刊は2000年。その立ちあげからかかわっている。僕にとってのバンコクの分身のような本である。
創刊以来、いろんなことがあった。長くバンコクでフリーペーパーを発行していたDACOに制作を依頼していた。責任編集者である僕は、その年の内容を決める打ち合わせに何回か顔を出し、最後に内容をチェックしていたが、制作の実務にはかかわっていなかった。しかしDACOの体制が変わり、経営者やスタッフが変わっていくなかで、『歩くバンコク』の制作が、一気に僕に覆いかぶさるようになった。
制作を手伝ってくれる人に声をかけ、毎年編集チームをつくる形で発行をつづけた。この本には多くのファンがいたからだ。
2019ー2020年版も、その体制で制作がはじまっていたのだが、新型コロナウイルスの感染が広まり、すべてが止まってしまった。
3年ぶりの発行は悩みの時間だった。大きな流れからいえば、ガイドブックは衰退傾向にある。無料のネット情報が急速に充実してきているからだ。地図ひとつとってもグーグルマップは年を追って密度と精度を高めてきている。スマホに映しだされる地図に比べれば、本のスタイルはたしかに見やすい。しかし無料ではない。
ウイルスが蔓延し、海外に出ることすら難しくなった間、僕は遠くなったバンコクの空を日本から眺めながら、『歩くバンコク』の存続を逡巡していた。
しかしコロナ禍がその勢いを失いつつあるなかで、発行はあっさりと決まった。この本には多くのファンがいたからだ。
再び編集チームをつくった。僕自身も街を歩きはじめた。
そこで大きく姿を変えたバンコクに出合うことになる。看板を降ろしてしまった店も少なくない。そしてそこに新しい店ができる。街に新陳代謝が起きていたのだ。それをひとつ、ひとつ地図上で修正していく。
バンコクのインフラも進んだ。コロナ禍の間に、BTSという高架電車や地下鉄のMRTなどが路線をのばしていた。バンコクは80ページの『歩くバンコク』では収まらない規模に広がっていた。
2000年に創刊したときを思い出した。前年にBTSが開業した。街が変わりはじめていく予感のなかでの創刊だった。
自らいうのもなんだが、今回の『歩くバンコク』は労作である。それを支えたのは、バンコクという街のエネルギーだった。『歩くバンコク』は、いつもバンコクに助けられている。新しいバンコクができあがっていく感覚を、『歩くバンコク』で味わってみてください。
歩くバンコク 2023 (メディアパル)
Amazon購入ページ
■YouTube「下川裕治のアジアチャンネル」。
https://www.youtube.com/channel/UCgFhlkMPLhuTJHjpgudQphg
面白そうだったらチャンネル登録を。
■noteでクリックディープ旅などを連載。
https://note.com/shimokawa_note/。
○旅をせんとやうまれけむ=つい立ち止まってしまうアジアのいまを。
○アジアは今日も薄曇り=コロナ禍の海外旅行を連載中。
■ツイッターは@Shimokawa_Yuji
いま、バンコクにいる。95冊の本をもってきた。制作にかかわってくれた人たちに手渡している。
『歩くバンコク』の創刊は2000年。その立ちあげからかかわっている。僕にとってのバンコクの分身のような本である。
創刊以来、いろんなことがあった。長くバンコクでフリーペーパーを発行していたDACOに制作を依頼していた。責任編集者である僕は、その年の内容を決める打ち合わせに何回か顔を出し、最後に内容をチェックしていたが、制作の実務にはかかわっていなかった。しかしDACOの体制が変わり、経営者やスタッフが変わっていくなかで、『歩くバンコク』の制作が、一気に僕に覆いかぶさるようになった。
制作を手伝ってくれる人に声をかけ、毎年編集チームをつくる形で発行をつづけた。この本には多くのファンがいたからだ。
2019ー2020年版も、その体制で制作がはじまっていたのだが、新型コロナウイルスの感染が広まり、すべてが止まってしまった。
3年ぶりの発行は悩みの時間だった。大きな流れからいえば、ガイドブックは衰退傾向にある。無料のネット情報が急速に充実してきているからだ。地図ひとつとってもグーグルマップは年を追って密度と精度を高めてきている。スマホに映しだされる地図に比べれば、本のスタイルはたしかに見やすい。しかし無料ではない。
ウイルスが蔓延し、海外に出ることすら難しくなった間、僕は遠くなったバンコクの空を日本から眺めながら、『歩くバンコク』の存続を逡巡していた。
しかしコロナ禍がその勢いを失いつつあるなかで、発行はあっさりと決まった。この本には多くのファンがいたからだ。
再び編集チームをつくった。僕自身も街を歩きはじめた。
そこで大きく姿を変えたバンコクに出合うことになる。看板を降ろしてしまった店も少なくない。そしてそこに新しい店ができる。街に新陳代謝が起きていたのだ。それをひとつ、ひとつ地図上で修正していく。
バンコクのインフラも進んだ。コロナ禍の間に、BTSという高架電車や地下鉄のMRTなどが路線をのばしていた。バンコクは80ページの『歩くバンコク』では収まらない規模に広がっていた。
2000年に創刊したときを思い出した。前年にBTSが開業した。街が変わりはじめていく予感のなかでの創刊だった。
自らいうのもなんだが、今回の『歩くバンコク』は労作である。それを支えたのは、バンコクという街のエネルギーだった。『歩くバンコク』は、いつもバンコクに助けられている。新しいバンコクができあがっていく感覚を、『歩くバンコク』で味わってみてください。
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Posted by 下川裕治 at 11:27│Comments(1)
この記事へのコメント
お疲れ様です。タイについて書かれる下川先生の筆はどこか明るく柔らかに感じられて、とても好きです。クリックディープ旅のほうでも楽しみたいのですが、更新はまだでしょうか?続きを心待ちにしています。
Posted by 南天 at 2022年12月22日 21:26
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