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ナムジャイブログ

2012年01月09日

写真を撮りやすくなった時代の後味

 いまの若者は実に簡単に、そして膨大な写真を撮る。昨年、大学生たちとバングラデシュに向かい、改めて思った。テーブルに食事が運ばれてくるとカシャ。現地の人をカシャ。旅を記録したい気持ちはわかるが……。
 デジカメが普及した結果だろう。携帯電話やスマートフォンにもデジカメが搭載されている。とにかく写真に撮り、うまく映っていないものは削除していけばいい。それがデジカメでもあるわけだから、枚数は膨大なものになっていってしまう。
 取材で海外によく出る。カメラマンと同行することも多い。彼らは写真を撮る前、了解をとることが基本だ。肖像権の問題があるからだ。しかしいまの若者は、そんな断りもなく、カシャっと撮ってしまう。
 列車やバスなどの車内写真で、出版社や新聞社と相談することもよくある。ある出版社からはこういわれた。
「映り込んでしまう乗客全員から承諾をとってください」
 しかし現実にはなかなか難しい。かなりの人数になってしまうからだ。その写真を掲載するかどうかもわからない。そのつど、全員に許可をとっていたら、とんでもない労力がかかる。写真もどこか記念撮影風になってしまう。
 ある新聞社は、8人を境界にしていた。それ以下の人数なら承諾をとる。それ以上なら、多くの人という解釈をあてはめた。なぜ、8人なのかはわからなかったが。
 海外で料理を撮るときも気を遣う。一度、パリでレストランの取材をしたことがあった。そのとき、店の了解のほかに、皿をつくった人からも許可をとってほしいといわれた。皿にも著作権があるからだという。
 しかし最近は、そんな煩雑な手続きを踏まなくても、料理の写真を撮ることができることが多い。店も簡単に許可してくれる傾向が強くなった。一般の人々が、勝手に撮ってしまうからだ。海外の場合、その写真をブログやフェイスブックにアップする人が多い。店側も、いちいち注意もできないのだろう。
 ブログやフェイスブックに掲載する写真は、許可をとらなくてもいいのだろうか。そんなことを考えてしまう。しかし少なくとも、ネットが普及したことで、著作権や肖像権の問題はかなり曖昧になってきた。いまにして振り返ると、昔の苦労はなんだったのかと思い悩んでしまう。
 だが……と思うのだ。了解を得ずに人や料理を写真に撮ると、後味が悪い。罪悪の思いがどこかにある。それは著作権とか肖像権以前のことのようにも思う。写真を撮るときは、事前に、目配せでもいいから了解をとる。それは最低の礼儀という気がするのだ。
 そう考えてしまうのは、これまで著作権や肖像権の問題で、長く苦労してきたからなのだろうか。


Posted by 下川裕治 at 16:38│Comments(1)
この記事へのコメント
お皿に著作権・・・考えても見ませんでした。確かにそうですよね。お皿も「作品」です。そうじゃない物の方が多いですが・・・。これからは気をつけて写真を撮るようにします。
Posted by ヲったん at 2012年01月09日 19:11
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