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ナムジャイブログ

2009年05月19日

「わび」「さび」という日本ブランド

 茶会というものに参加した。やはり年をとったということなのだろうか。最近、知人が深入りする世界は、妙に和風である。
 町田に近い一軒家。そこのなかにある茶室で、懐石料理をいただき、最後にお茶という世界だ。
 無粋なうえに、海外ばかりほっつき歩いてきた僕は、お茶の世界にはとんと疎い。礼儀作法にも縁がない。高い茶器の世界や家元制にも違和感を覚えていた。
 しかし茶会は新鮮だった。三畳ほどの個室は、武将たちの密会の場だった。この部屋には刀はもち込むことはできなかったのだ。
「わび」の世界にしても、千利休という男を介した、ひとつのブランドだった。
 茶室に響く釜の音。和ロウソクが燃える音。掛け軸の前に飾られた茶花。それは日本人がつくりあげたブランドだったのだ。
 そぎ落としていくというマイナスの美学が生んだ「わび」「さび」というブランド。そこは日本人の生き方に通じていた。
 しだいに豪奢になり、戦争を通して、そのブランドへの評価は低くなってしまったが、そこにある宇宙観には、目を瞠るものがある。そこへの道のりは遠そうで、分け入ろうとは思わないが、ときにその世界に圧倒される茶室は、沈思黙考してしまうほど新しかった。


Posted by 下川裕治 at 12:24│Comments(0)
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