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ナムジャイブログ

2012年12月17日

タイのモカコーヒーはカフェモカだった

 バンコクの路上で、しばし悩んだ。コーヒーの話である。
 先日、サパンクワイのホテルに泊まった。よく泊まる宿である。
 僕のバンコクでの朝食は、豆乳、バートンコーというタイ式揚げパン、コーヒーというパターンが多い。サパンクワイの市場の近くまで行くと、朝屋台が並んでいる。そこでバートンコーと豆乳はそろった。問題はコーヒーだった。
 サパンクワイは庶民の街である。豆から挽いた本格コーヒーを飲む人が少ないらしい。昔ながらのコーヒー屋台はあるのだが、最近のバンコクで増えている本格コーヒー屋台がなかった。
 しかし今回、駅の方まで行ってみた。登場していた。本格コーヒー屋台をみつけたのである。
 はじめたのは、誠実そうなひとりのおばさんだった。タイ語だが、メニューも掲げている。モカを頼んでみた。
 おばちゃんは、挽いたコーヒーをドリッパーにセットした。やがてコーヒーが抽出されると、そこに焦げ茶色の粉末をかけ、スプーンで丁寧にかきまわして出してくれた。
「これってモカ?」
 つい訊いてしまった。
「そう、モカ。このコーヒーにココアの粉末を入れるんです。研修でしっかり習ったから間違いありません」
「そ、そうですか」
 僕にとってのモカは、モカという豆から淹れたコーヒーだった。しかしタイではココア入りになってしまう。
 知人に訊いてみた。
「そういえばスターバックスのモカも、ココアを入れる……」
 調べてみた。ココアを入れるのは、正式にはカフェモカだった。アメリカで生まれたものだった。
 バンコクの人々が本格コーヒーを飲みはじめた時期は、スターバックスが出店した頃と重なっているように思う。スターバックスのメニューにカフェモカがあった。タイではこれがモカということになり、コーヒー屋台のメニューになったのだろう。
 これも一種の飛び馬的進化なのかもしれない。レコード盤を経験せず、いきなりカセットテープやCDが普及することと同じ流れである。
 しかしタイには、とんでもないコーヒーもあった。粉末エスプレッソや粉末アメリカンである。コーヒー屋台の世界なのだが、エスプレッソを注文すると、壜から粉末をカップに入れ、湯を注いで、
「はい、エスプレッソ」
 あれはどうみても嘘っぽかった。エスプレッソとアメリカンをふたつ注文し、飲み比べてみようと思っているうちに、屋台は姿を消してしまったが。


Posted by 下川裕治 at 20:59│Comments(1)
この記事へのコメント
下川さん、飲みました、日本で。うまかった。
Posted by 谷子 at 2012年12月22日 02:38
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