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ナムジャイブログ

2013年02月04日

バンコクがカンヅメの街?

 バンコクでひとりカンヅメ状態になっている。本当はバングラデシュに行く予定だったのだが……。
 カンヅメというのは、原稿の締め切りに間に合わず、部屋にこもって集中的に原稿を書くことをいう。出版界の用語かもしれない。
 本来は出版社がホテルを確保し、そこにカンヅメ状態にする。目的は原稿を書かせることだが、編集者が管理して、他社の仕事はさせない状態をつくることでもある。
 最近の出版社の景気は悪い。僕のようなもの書きに、ホテル代を負担する余裕もない。結局自分から進んでカンヅメ状態になる、という自虐行為を冒すことになる。
 カンヅメ先は、1泊750バーツ、日本円で2500円ほどのサパンクワイのホテルである。そこに引きこもって4日目になる。
 以前、ある作家が、ひとりカンヅメの話をエッセイで書いていたが、その宿泊先はハワイのホテルだった。その話を思い出すと、なんだかいじけてしまうのだが、まあ、僕はサパンクワイのタイ人向けホテルがお似合いだろう。
 そもそもカンヅメになる場所は、劣悪な環境のほうがいいという人がいる。刑務所は厳しいところでなくてはならない。もう2度と入りたくないという思いが犯罪の抑止力になるともいう。病院の環境がよくなると、病気の治りが悪いという説もある。
 サパンクワイのホテルはネットがつながっていない。カンヅメという環境では、これはかなり重要なことである。つい連絡をとってしまうし、ゲームに走る人もいる。世間から閉ざされた環境をつくることがカンヅメである。ネットが通じないホテルのほうがいいわけだ。
 食事はサパンクワイの屋台ですます。それ以外は、ホテルの部屋にこもっている。寝る前にビールを1本。こういう暮らしをしている。1日の出費は、ホテル代を除けば150バーツほどである。日本円で500円以下。ずいぶん安あがりのカンヅメ生活である。
 一時、タイ料理に飽きてきたことがあった。どれも同じ味のように思えてしまった。しかし最近、サパンクワイの屋台でタイ料理を食べるようになって、認識が変わった。タイ料理は確実に進化していたのだ。毎日、違う店で食べることにしている。「こうきたか」。「これはいったいなんだ?」。孤独のグルメのようにひとりごとをくり返している。
 ここ半年ほどの間に、3冊の本を書いた。振り返ってみると、その半分ぐらいはバンコクで書いているような気がする。
 バンコクは僕にとって、カンヅメの街になりつつある。



Posted by 下川裕治 at 16:28│Comments(1)
この記事へのコメント
僕の義理の兄が社長をやっている缶詰会社(いなば食品)が、バンコクで缶詰(ペット用)を作っているので、その話かと思いました(笑)。
Posted by 寺澤浩一 at 2013年02月04日 18:36
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