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ナムジャイブログ

2023年08月08日

LCC疲れがMCCを生む?

 MCC(ミドル・コスト・キャリア)という用語がようやく定着してきた感がある。飛行機はFSC(フル・サービス・キャリア)とLCC(ロー・コスト・キャリア)という状態が長くつづいていた。FSCはレガシーキャリアともいわれる。日本でいえば、日本航空や全日空がそれにあたる。MCCは、FSCとLCCの中間を狙った航空会社だ。
 アジアでこの動きを感じとったのは10年ほど前だ。タイ国際航空の子会社としてタイ・スマイルが誕生したのだ。裏にあったのはタイ国際航空内の内部分裂だと聞いた。造反組がつくったのがタイ・スマイルだった。
 タイ国際航空より安く、LCCよりは高いという運賃の価格帯。タイ国際航空ほどしっかりはしていないが、無料で機内食がつく。預ける荷物は無料。だが、タイ国際航空のようにスターアライアンスのマイルは貯まらない……など見劣りはする。しかしタイではシニア層を中心に利用者が増えていく。タイ国際航空は高いが、LCCはちょっと……というニーズに応えたわけだ。
 台湾のスターラックス航空が就航をはじめたのは2020年。この航空会社の誕生はエバー航空のお家騒動が発端だった。エバー航空の創業者が死亡し、後継者争いが表面化する。後妻の子供である張國煒が次期社長という噂だったが、最終的にはエバー航空から追い出されてしまう。台湾社会に格好のワイドショーネタを提供したわけだが、彼がつくった航空会社がスターラックス航空だった。運賃や就航路線を見るとMCCをめざしているかのようだった。
 しかしスターラックス航空はなかなかの人気で、いまやエバー航空やチャイナエアラインという台湾のFSCを凌ぐほどになってきている。
 内部分裂やお家騒動がMCCを生む? 少し色合いは違うが、LCCの元経営者も動きはじめている。
 韓国のLCCであるチェジュ航空の会長だったキム・ジョンチュルがつくったエアプレミアが好調なのだ。この航空会社は2021年に就航をはじめた。運賃はFSCとLCCの中間。ソウルー東京間は軽食程度だが、長距離路線は無料の機内食がつく。ソウル在住の知人も、最近は日本との往復によく使うという。LCC特有のストレスがないことがいいという。
 タイでも新しい動きが起きている。ノックエアの元CEOがリアリークールエアラインをつくると3月に発表したのだ。その特色を見ると、どうも国際線のMCCをめざすようなのだ。
 誕生の裏側にはきな臭さがにおってくる。しかし新しい航空会社をつくるとしたら、いまはMCCという流れが生まれている。アジアでLCCの就航がはじまって20年がすぎた。その安さは画期的で、航空業界を大きく変えたが、組織は硬直化しつつあるのか。利用者の間にも、LCC疲れのような意識が芽生えているのだろうか。
 さて、僕はどうする? LCCの安さと、FSCのマイルに縛られて身動きがとれない。これは僕の硬直化?

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Posted by 下川裕治 at 10:44│Comments(0)
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