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ナムジャイブログ

2019年07月29日

家族という単位

 台湾のなかの日本といった話は、このブログのなかでも触れてきた。今日、台湾南東にある緑島に行ってきたが、改めて台湾人の意識や習慣のなかに、日本を感じとってしまった。
 緑島は2回目だった。前回は、この島にあった刑務所跡を訪ねることが目的だった。もっともこの島にはいまも刑務所がある。そのとき、僕が訪ねたのは、かつて白色テロの時代、この島に送られた政治犯を収容する刑務所跡だった。
 台湾では監獄島として知られている。その理由は、政治犯を収容した刑務所があったことが理由だった。
 しかし今回は違った。朝日温泉を訪ねることだった。観光旅行に近い。
 しかし前日、緑島に渡るフェリーの予約状況をみると、30分から1時間おきにあるフェリーは軒並み満席になっていた。
「夏休みのせいかなぁ」
 同行する台湾在住の日本人が首を傾げた。夏休みに入った最初の週末。台湾の多くの観光地は家族連れでにぎわうのだという。その話を聞きながら、日本がダブった。この週末は、日本の観光地も家族連れでにぎわっているはずだ。
 今朝、キャンセル狙いで港に行ってみた。運よく切符が手に入り、緑島に渡った。本当に家族連れが多かった。
 いまの緑島は、かつての監獄島のイメージは薄れ、ダイビングの島になりつつある。台湾人たちは民宿の送迎車に乗り込んでいく。民宿に荷物をおろした家族連れは、水着に着替え、ダイビングポイントに向かう。スキューバダイビングは少数派で、シュノーケリング組が多い。ライフジャケットを着、インストラクターのレクチャーを受けている。
 島の中心街では、リゾートっぽいカフェが並んでいる。そこに水着姿のカップルが集まってくる。
 台湾の沖縄だった。
 台湾は広いエリアではないが、3000メートルを超える山があり、白い砂のビーチが続く島がある。そんな場所を観光地に仕立てあげている。日本人が沖縄をビーチリゾートに育てたように。そこに夏休みに入った家族連れが押しかける。
 夏休み……。観光に出かける家族の意識。そこに流れるささやかだが健全なもの。暑さのなか、フェリー乗り場で寝入ってしまう子供を抱く父親。男の子に、「しっかりしなさい」と少しきつい言葉を投げる母親。
 それは夏の沖縄にやってくる日本人家族とそっくりだった。
 台湾は言葉も食べるものも日本とは違う。背負う歴史も重ならない。しかし家族という社会を構成する単位の意識が似ている。また日本に出合ってしまう。

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■ツイッターは@Shimokawa_Yuji
■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=台湾の超秘湯の旅を連載中。
○旅をせんとやうまれけむ=つい立ち止まってしまうアジアのいまを。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。いまも続いています。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記
  

Posted by 下川裕治 at 15:33Comments(0)

2019年07月24日

【イベント告知】新刊「12万円で世界を歩くリターンズ」発売記念

下川裕治の新刊「12万円で世界を歩くリターンズ」発売を記念して、トークイベントを開催いたします。

詳細は以下です。


今回は、東京での◆下川裕治さんトークイベント◆新刊「12万円で世界を歩くリターンズ」発売記念のお知らせです。

◆川裕治さんトークイベント◆

「30年振りに12万円で世界を歩いてみた~ 赤道・ヒマラヤ・アメリカ・バングラデシュ編」

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新刊『12万円で世界を歩くリターンズ 赤道・ヒマラヤ・アメリカ・バングラデシュ編』(朝日文庫)の発売を記念して、旅行作家の下川裕治さんをお招きして、30年振りに挑戦した12万円の旅についてスライドを眺めながらたっぷりと語っていただきます。80年代に雑誌「週刊朝日」の連載で1回12万円の予算で、赤道直下、ヒマラヤ、カリブ海といった12のルートにビンボー旅行に出かけ、1990年に『12万円で世界を歩く』で旅作家として鮮烈デビューした下川さん。あれから30年。新刊では、赤道越え、ヒマラヤトレッキング、バスでアメリカ一周など、『12万円で世界を歩く』で旅した同じルートの内、4つのルートを再び下川さんが挑戦しています。LCCは全盛期を迎え、世界の物価は大幅に上昇し、交通手段が消えてしまった場所もあるなど、この30年間で旅はどう変わったのかを下川さん自身の30年間の旅人生を振り返りつつ、貴重なエピソードを交えながらお話していただきます。下川ファンの方はもちろん、バックパッカーの旅が大好きな方や個人旅行に興味のある方はぜひご参加ください!


※トーク終了後、ご希望の方には著作へのサインも行います。

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●下川裕治(しもかわゆうじ)

1954年長野県松本市生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。新聞社勤務を経てフリーに。アジアを中心に海外を歩き、『12万円で世界を歩く』(朝日新聞社)でデビュー。以降、おもにアジア、沖縄をフィールドに、バックパッカースタイルでの旅を書き続けている。『日本を降りる若者たち』(講談社現代新書)、『「生き場」を探す日本人』『シニアひとり旅バックパッカーのすすめ アジア編』(ともに平凡社新書)、『ディープすぎるシルクロード中央アジアの旅』(中経の文庫)など著書多数。   

◆下川裕治さんブログ「たそがれ色のオデッセイ」
http://odyssey.namjai.cc/

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【開催日時】 
・8月22日(金) 19:30 ~ 
(開場19:00)

【参加費】  
各1000円※当日、会場入口にてお支払い下さい

【会場】 
旅の本屋のまど店内

【申込み方法】 
お電話、ファックス、e-mail、または直接ご来店のうえ、お申し込みください。
TEL&FAX:03-5310-2627
e-mail :info@nomad-books.co.jp
(お名前、ご連絡先電話番号、参加人数を明記してください)
 
※定員になり次第締め切らせていただきます。

【お問い合わせ先】
旅の本屋のまど TEL:03-5310-2627 (定休日:水曜日)
東京都杉並区西荻北3-12-10 司ビル1F

http://www.nomad-books.co.jp

主催:旅の本屋のまど 
協力:朝日新聞出版
  

Posted by 下川裕治 at 20:03Comments(1)

2019年07月22日

目覚まし依存症

 仕事がたて込んでくると、目覚ましが手放せない生活になってしまう。1日のうちに、目覚ましを5回ぐらいかける。
 時刻を知らせ、もう少し急いで原稿を書かなければ……といった目的で、アラームをセットするわけではない。本来の目的で使う。つまり目覚ましである。1日に5回ぐらい目覚ましをかけるということは、1日に5回寝ることを意味する。
 どんなとき、仕事がいちばん進むか……というのは、人それぞれだと思う。僕の場合は圧倒的に寝起きである。それを狙って寝るわけだ。目覚ましをセットするのは、10分から15分後。それだけでもずいぶん違う。それを1日繰り返していく。さすがにメインの睡眠はある。だいたい午前4時から午前7時ぐらいまでだ。それ以外の時間を、細切れ睡眠でつないでいく。
 全体では寝不足状態だ。そのなかでなんとか仕事を進める。少し寝て机に向かい、眠くなったらまた少し寝て……。こうなってしまうのだ。
 1日中、家の机に向かっているわけではない。打ち合わせや用事で家を出る。電車に乗ると、すぐに眠くなる。そこで再び、目覚まし時計が登場する。到着時刻の5分前ぐらいにセットする。
 目覚まし時計が手放せないのだ。
 そんな10日間がすぎていった。こういう暮らしをしてはいけないと思う。しかし締め切りは冷たい顔をして待っている。その前ではどうすることもできない。
 楽しみは眠ることと食べること。それしかないところまで追い詰められていく。こんなことをもう何回繰り返しているのだろう。
 60歳をすぎ、眠りの質が変わってきたことがわかる。たとえば15分寝る。以前は眠った記憶があった。しかし最近は、それが判然としない。眠ったのか、うとうとしただけなのか……。眠りが浅いのか、深かったのかも虚ろのまま、再び机に向かう。
 最近、同年齢の知人と会うと、口をそろえたように、眠りが浅いという。夜中に目が覚めてしまうと、なかなか寝つけないという。年相応の話だと思って聞いているが、僕のように眠りを絞るように暮らしていても、眠りの質が変わってきていることはわかる。
 睡眠を削って原稿を書く癖がついてしまった僕にも、同じように老化の波はひたひたと寄せてくるということなのだろうか。
 なんとか原稿のけりをつけ、飛行機に乗った。いまバンコク。明日、ミャンマーに向かう。睡眠のサイクルを壊してしまうと、なかなか戻らない。
「日本に帰る頃は、もう少しまともな睡眠をとれるようになっているだろうか」
 そう思いながら、また目覚ましに手がのびる。

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Posted by 下川裕治 at 14:18Comments(2)

2019年07月15日

ため息ばかりついている

「12万円で世界を歩くリターンズ」(朝日文庫)の売れ行きが好調のようだ。となると、当然、第2弾の話がもちあがってくる。
 この本は、30年前に発刊された「12万円で世界を歩く」と同じコースを、いま歩いてみよう、という内容である。今回は、スマトラ島の赤道、ヒマラヤのトレッキング、アメリカをバスで一周、バングラデシュに向かっている。「12万円で世界を歩く」では、12のコースに挑んだ。そのなかから、第2弾用のルート選ぶことになる。
 しかし気が重い。
 今回、旅をしてわかってしまったことがある。それは当時、輝いていた交通機関が、30年の間に衰退し、勢いをなくしているということだった。
 たとえばタイやインドネシアの長距離バスである。いまのアジアはLCCに勢いがある。そのなかで長距離バスは客足が遠のき、便数減少。なかには廃止されたルートもあった。走っていても、30年前より所要時間がかかることもあった。
 街の人に訊くと、皆、口をそろえたように「LCC」という。たしかに同じぐらいの運賃なら、だれでも飛行機を選ぶ。そのなかで、30年前と同じように旅をするということは、衰退交通機関にあえて乗るという時代錯誤のなかを歩くことになる。
 30年前、僕が乗った長距離バスは輝いていた。各社はサービスを競い合っていた。そういう乗り物で旅をするだけで、それまでの日本人の旅よりかなり安く移動することができた。本のなかでは、「きつい」、「長い」などと連発しているが、現地にしてみれば花形の乗り物だったのだ。それがいまは、一気にしぼんでしまっている。
 アメリカのグレイハウンドもそうだった。飛行機に押されるなかで、路線も少なくなった。シカゴからスポケーンの間はグレイハウンドの運行がなくなり、地場のバス会社が受けもっていた。当然、運賃も高くなる。そのなかで、なんとか12万円でやりくりしようとすると、30年前以上に貧しい旅になってしまうのだ。
 第2弾はカナダの北極圏や中国の長江を遡る旅などを考えているのだが、はたしてどうなることか。とくに中国は鬼門である。この30年の間に、恐ろしいほどの経済発展を経験してしまった。長江を船で……などと口にすると、「そんなものは遠い昔になくなってしまったよ」という言葉が返ってきそうだ。
 経済発展が急な国は、時間の進み方も早いのだ。そのなかで翻弄されることはわかっている。
 第2弾……。
 その前でため息ばかりついている。

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Posted by 下川裕治 at 11:53Comments(0)

2019年07月10日

【新刊プレゼント】『12万円で世界を歩くリターンズ』

下川裕治の新刊発売に伴う、プレゼントのお知らせ記事の投稿です。

【新刊】



下川裕治 (著)


『12万円で世界を歩くリターンズ』

朝日新聞出版刊
700円(税別)


◎ 本書の内容

実質デビュー作の『12万円で世界を歩く』から30年。あの過酷な旅、再び! !

インドネシアで赤道越え、ヒマラヤのトレッキング、バスでアメリカ一周……80年代に1回12万円の予算でビンボー旅行に出かけ、『12万円で世界を歩く』で鮮烈デビューした著者が、同じルートに再び挑戦する。LCCは全盛期を迎えたが、世界の物価は大幅に上昇し、交通手段が消えてしまった場所もある。だが最大の問題は体力か! ?



【プレゼント】

新刊本『12万円で世界を歩くリターンズ』 を、

抽選で"3名さま"にプレゼントします!

応募の条件は以下です。

1.本を読んだ後に、レビューを書いてブログに載せてくれること。
(タイ在住+日本在住の方も対象です。)

応募は以下の内容をご記入の上、下記のお問合せフォームよりご連絡ください。応募受付期間は2019年7月24日まで。当選発表は発送をもってかえさせていただきます。

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Posted by 下川裕治 at 12:28Comments(0)