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ナムジャイブログ

2023年10月30日

パソコン格差

 最近、日本語を学んでいるタイ人とラインのやりとりをしている。ひらがなを覚え、漢字に悲鳴をあげ……という日々を伝えてきているが、訊くと通う日本語学校は紙に日本語を書くスタイルだという。
「いまは日本人はほとんどスマホかパソコンだよ」
 といった話が発展し、毎朝、日本流のやりとりを伝えることになってしまった。メールでは「おはようございます」ではなく、「お疲れ様です」からはじめる日本人が多いといったふうに……。
 そこでふと思った。タイ人は日本語をどう入力している? 訊くとスマホでひらがな入力。パソコンは苦手だという。パソコンのキーボードはタイで売られているものだから日本語がない。ローマ字入力するしかないのだが、それはすごく難しいというのだ。たとえば近づく。「TIKADUKU」と打たないと表示されない。「TIKAZUKU」では「地下ずく」になってしまう。思い通りの文字が表示されず、イラつくという。
 勢い、スマホに手がのびてしまう。スマホなら、覚えたひらがなだけでいける。
「しかし日系企業に勤めるならパソコンで日本語を打てなくちゃ」
 周囲からはそういわれるようだ。日本語を学ぶということが、ネットの登場でさらに煩雑になってしまった気もする。
 僕がはじめてキーボードというものに出合ったのは30歳代だった。ワープロが登場したのだ。打ち方は当然、最初は人差し指1本のひらがな入力だった。ローマ字入力など考えてもみなかった。ところがその後、気がつくとローマ字入力になっていた。
 いったいいつ頃、ローマ字を覚えたのかの記憶がない。小学校の高学年? それとも中学校? どこで使うのかもわからないまま、なんとなく覚えた。パソコン入力で毎日、何千、いや万単位でローマ字を使うなどとは考えてもみなかった。そしていま、このローマ字が外国人が学ぶ日本語を難しくしてしまっている。
 ほかの国の人はどう打っている?
 訊いてみるとこれがなかなか奥深い。台湾の人々は注音(チュウイン)符号を使っていた。これは中国語の発音記号のひとつ。組み合わせて打つと画面に漢字が出てくる。清の終わり頃に発案され、中国国民党が完成させた。
 ところが国共内戦後に中国共産党は別の発音記号である拼音(ピンイン)をつくる。そこから台湾人のなかには、注音符号へのアイデンティティーが生まれてくるのだ。いまの中国人は注音符号での入力ができない。逆に台湾人は拼音での入力をしない。台湾と中国は、繁体字と簡体字以上に、パソコンの入力方法も違っていたのだ。
 カンボジア人のキーボードを見ると、アルファベットしかない。これを組みあわせるとクメール文字になるそうだが、それを覚えるのが大変だという。ミャンマー人、ベンガル人……訊いていくと、いかに入力が大変かを滔々と話しはじめる。パソコンとはそういう存在だったのだ。逆にいうと、パソコンを前に仕事をする人としない人の間にはかなりの格差が生まれていることになる。パソコン格差とでもいったらいいだろうか。
 そこへいくとスマホは……。スマホのもつインターフェイスは、格差解消の役割も果たす?

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Posted by 下川裕治 at 13:41│Comments(0)
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