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ナムジャイブログ

2023年07月03日

午後は働いているふりをする

 それは仕事の密度の問題なのだろうか。人間の体力とは、そのぐらいのものなのだろうか。年をとり、体力がなくなってきたのか、そんなことを最近、考えるようになった。
 仕事にかかわる午前と午後の問題である。
 気になりはじめたのはだいぶ昔。きっかけはギリシャだった。そのとき、僕は「格安航空券ガイド」という雑誌の立ちあげにかかわっていた。この雑誌は、世界の旅行会社から航空券の価格情報を提供してもらい、それを誌面化する雑誌だった。発行するためには、情報をくれる旅行会社をみつけなくてはならない。インターネットがない時代である。僕は旅行会社を探して世界をまわった。
 ギリシャのアテネ。情報は少なかった。朝からアテネのシンタグマ広場界隈を歩いた。この周辺に旅行会社が集まっていた。
 アンジェリーリと会ったのはそのときだった。彼は自分の店の前に立ってコーヒーを飲んでいた。協力してくれることが決まり何回か会った。そのときに思ったものだった。
「彼は午前中しか頭が動いていないのではないだろうか……」
 午前中に会うと話はさくさくと進み、誌面が埋まっていくのだが、午後になると急にペースが落ちる。ひとつの航空券の運賃を調べるのに、午前中の3倍以上かかる。
 彼の仕事のペース。それはスペインも同じだった。カナリア諸島に1ヵ月ほど滞在したことがある。12時になるとすべての会社や店が閉まる。それから昼食。シェスタへと流れていく。その昼食。ワインを飲みつつ昼食をとり、最後にブランデーとコーヒーが出てくる。コーヒーにブランデーを流し入れる人もいるが、コーヒーをチェイサー代わりにしてブランデーを飲む人も多い。僕も真似てみたことがある。すごくしっくりときたが、はっきりいって酔う。それが自宅でのシェスタにつながっていく。
 動物にはサーカディアンリズム、つまり体内時計がある。午前中は脳が活性化し、午後2時から3時頃に低下し、その後、再び活性化する。シェスタは理にかなった生活スタイルなのだ。しかしシェスタへの風当たりは弱くない。ヨーロッパはEUに統合され、通貨は統一されたが、午後、ロンドンのビジネスマンがスペインの会社に連絡をとると、昼寝中といった返事を聞く。やはり面白くない。シェスタはグローバルスタンダードのなかで廃止傾向だとも聞く。
 しかしいくらシェスタを廃止しても、頭がうまく働かないなら意味がない。カナリア諸島の人たちを見ていると、午後、急速にテンションがさがる。
 アジアではベトナムや台湾、中国に午後の昼寝習慣が残っている。とくにベトナムは生活に根づいていて、高校でも昼寝がある。ホーチミンシティで日系企業で働く知り合いのベトナム人はこういう。
「昼寝をしないと、午後はもちません。日本の本社から昼寝中に電話がくると、一応、出ますが頭は動いていませんね」
 こうして考えると、世界の半分ぐらいの人は、午前中しか働いていない気がする。午後も一応、会社には出ているが頭が動いていない。
 転じて日本。9時から12時まで働いて昼食に1時間。そして1時から6時まで5時間。しっかり午後も働いている。これは仕事への集中力からいって無理ではないか。いや、日本人は体力がある?
「午前中しか働かない」
 あとは働いているふりをする。
 これがこれからの僕の生活スタイル?

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Posted by 下川裕治 at 18:00│Comments(0)
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