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ナムジャイブログ

2024年10月21日

後退する中国とどうつきあう?

 中国経済に勢いがなくなってきているのは確実だと思う。ある専門家が、これからは成長する中国ではなく、後退傾向の中国とどうつきあっていくかが課題、といっていたが、現実味のある言葉だ。
 僕は毎週、運営するYouTubeのチャンネル(https://www.youtube.com/@asia.shimokawa)で、航空券情報を配信している。毎回、バンコク、台北、ソウル……といった都市への安い航空券を検索サイトなどを使って探す内容だ。そのなかで、今年に入ってから、中国東方航空や中国国際航空が常に最安値を提示するようになってきた。
 たとえばバンコク。以前はクアラルンプールやハノイなどで乗り継ぐLCCがいちばん安かったのだが、最近は中国東方航空が常に最安。便数が多いので、スカイスキャナーなどで検索し、安い順に並べると、ズラーと中国東方航空が並ぶことになる。
 先週は台北行きの安い航空券を探っていたのだが、やはりバンコク同様、中国東方航空が安い航空券グループを埋めていた。ルートは東京ー上海、上海ー台北である。往復で3万円台だ。
 ちょうどその前、台湾の総統、頼清徳氏の演説に抗議する形で、中国軍の軍事演習が行われた。台湾を囲むようにして行われた演習は、海上封鎖も可能であることを誇示するような演習だったが、そのときも、上海と台北を結ぶ中国東方航空の便は運航されていた。日本人にとっては違和感がある運航だが、それが中国の現実でもある。
 やはり乗客がかなり減っている、ということなのだろう。景気が後退するなかで、海外旅行を控える中国人が増えているのだ。
 旅行者が中国の権威主義を実感する場は多くない。街を歩いてもダイレクトにその圧力に晒されるわけではない。しかし飛行機や空港は違う。客室乗務員からは「乗っていただく」というより「乗せてやる」といった接客感が伝わってくる。空港職員の対応も居丈高で、そこを支配しているのは「管理する」という発想である。
 中国東方航空や中国国際航空はFSC(フルサービスキャリア)である。預ける荷物は無料で機内食も無料だ。しかし乗客の多くは、LCCよりストレスを感じるという人が少なくない。そのサービスが権威主義的なのだ。
 それでも中国人客の多さで、便を増やしてきたのだが、ここへきて外国人乗客をとり込む方向にシフトさせてきたということかもしれない。そのサービスはLCCより劣るわけだから、料金を安くするしかない。
 しかし運航スケジュールは中国人に合わせている。日本人には使い勝手が悪いが、安いことは魅力だ。日本人観光客も停滞する経済と円安のなかに置かれている。
 権威主義は海外と接する部分で摩擦が生まれる。飛行機は非権威主義的な国の航空会社と同じ土俵にのぼらなくてはならない。それは昔から変わらないが、以前の中国は豊富な資金力をバックに中国式を押し通すことができた。しかし景気の後退は、そのスタイルを難しくしている。
 先日、中国から日本にやってくる留学生の話を聞いた。その背景には「中考分流」があった。これは高校入試の段階で、大学への進学が可能な高校と高専や職業訓練校しかいけない高校に振り分ける制度だ。約半数が大学進学を諦めなくてはならないという。となると海外留学になるのだが、欧米は1年の学費が800万円を超えるが、日本は200万円ほどですむ。かつては欧米が人気だったが、景気の後退のなかで日本を選ぶ学生が増えているという。
 経済の停滞がはじまった中国とどうつきあうか……これは難問である。

■YouTube「下川裕治のアジアチャンネル」
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Posted by 下川裕治 at 11:31│Comments(1)
この記事へのコメント
(下川先生の番組が楽しみです(^_^))
Posted by マロンクリーム at 2024年10月22日 14:59
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