2024年07月22日
バンコクは避暑地になった?
東京が梅雨明けを迎えた。その翌日、軽井沢に向かった。高原の風は爽やかだったが、日帰りで東京に戻らなくてはいけなかった。重くて暑い空気に包まれた東京は息苦しいほどだった。夜が明け、7時頃に起きると、気温はすでに29度に達していた。予報では36度にまで気温はあがるという。
夏本番である。バスで事務所に向かったのだが、バスを待つ人たちは、バス停がつくる細い日蔭に列をつくる。僕もその列についたが、立っているだけで汗が頬を伝う。バスに乗り込んだが汗が止まらない。車内は冷房が効いているのだが、体が火照っているのだろうか。
「梅雨明け10日」という言葉がある。登山者の間でよく交わされる。梅雨が明けてから10日間、山の天気がいちばん安定するという意味だ。山は好天に包まれるが、下界は猛暑になる。
この時期、よく交わされるのが、地球の温暖化の話である。いつも思うのだが、今日の気温が36度になったからといって、それは地球の温暖化とは関係のない話だ。地球の温暖化とは、100年、いや500年といった時間感覚の話であって、去年より暑いといった気象を説明しているわけではない。
しかし僕も含め、油照りのなかで、文句のひとつもいいたくなる。温暖化は格好の標的である。
しかし暑い。日本の暑さは世界的に有名になりつつある。日本を訪ねる外国人が増えた結果である。
オリンピックを迎えたパリ市民がヴァカンスをどうすごすか、という話を聞いていたときだった。フランス人にとってヴァカンスは仕事より大切という人は多い。ところが今年はオリンピックと重なってしまった。
さて、どうする? フランスの調査機関が調べたところ、去年よりヴァカンスに出る人が10%も多いのだという。路上のカフェは鉄柵で囲まれてしまい、街を歩くのもやたら規制が多い。観戦チケットも高い。だったら今年はヴァカンス……となるらしい。
日本へのヴァカンスを考える人も多いのだという。理由は円安である。しかしひとりのフランス人がこういった。
「夏の日本の暑さは耐えきれないって話を知り合いから聞いたよ。去年の夏に東京や京都をまわったが、皆、よく生きていると思うような暑さだったと。いくら円が安くてもね」
たしかにヨーロッパの人々にとって、極東の夏の猛暑は未体験ゾーンかもしれない。
東京の猛暑のなかですごす人には申し訳ないが、東京に戻った翌日の深夜便でソウルに向かった。いまソウルでこの原稿を書いている。ソウルは小雨のせいか、だいぶ気温が低かった。しかし湿度はかなり高い。極東の夏である。
ソウルには1泊もしない。今夜の便でバンコクに向かう。東南アジアに着けば、極東の湿度から脱出できる。
気候がめまぐるしく変わる旅である。
真夏に東南アジアに向かう人から、避暑という言葉を聞くようになって10年ほどになる。少し話を盛っている気もするが、たしかにこの時期、東京よりバンコクのほうがすごしやすい。2日前、バンコクに行くという話を知人に伝えると、「避暑ですか」という言葉が返ってきた。
もちろん避暑ではない。「歩くバンコク」の入稿作業が待っている。
■YouTube「下川裕治のアジアチャンネル」
https://www.youtube.com/channel/UCgFhlkMPLhuTJHjpgudQphg
面白そうだったらチャンネル登録を。
■ツイッターは@Shimokawa_Yuji
夏本番である。バスで事務所に向かったのだが、バスを待つ人たちは、バス停がつくる細い日蔭に列をつくる。僕もその列についたが、立っているだけで汗が頬を伝う。バスに乗り込んだが汗が止まらない。車内は冷房が効いているのだが、体が火照っているのだろうか。
「梅雨明け10日」という言葉がある。登山者の間でよく交わされる。梅雨が明けてから10日間、山の天気がいちばん安定するという意味だ。山は好天に包まれるが、下界は猛暑になる。
この時期、よく交わされるのが、地球の温暖化の話である。いつも思うのだが、今日の気温が36度になったからといって、それは地球の温暖化とは関係のない話だ。地球の温暖化とは、100年、いや500年といった時間感覚の話であって、去年より暑いといった気象を説明しているわけではない。
しかし僕も含め、油照りのなかで、文句のひとつもいいたくなる。温暖化は格好の標的である。
しかし暑い。日本の暑さは世界的に有名になりつつある。日本を訪ねる外国人が増えた結果である。
オリンピックを迎えたパリ市民がヴァカンスをどうすごすか、という話を聞いていたときだった。フランス人にとってヴァカンスは仕事より大切という人は多い。ところが今年はオリンピックと重なってしまった。
さて、どうする? フランスの調査機関が調べたところ、去年よりヴァカンスに出る人が10%も多いのだという。路上のカフェは鉄柵で囲まれてしまい、街を歩くのもやたら規制が多い。観戦チケットも高い。だったら今年はヴァカンス……となるらしい。
日本へのヴァカンスを考える人も多いのだという。理由は円安である。しかしひとりのフランス人がこういった。
「夏の日本の暑さは耐えきれないって話を知り合いから聞いたよ。去年の夏に東京や京都をまわったが、皆、よく生きていると思うような暑さだったと。いくら円が安くてもね」
たしかにヨーロッパの人々にとって、極東の夏の猛暑は未体験ゾーンかもしれない。
東京の猛暑のなかですごす人には申し訳ないが、東京に戻った翌日の深夜便でソウルに向かった。いまソウルでこの原稿を書いている。ソウルは小雨のせいか、だいぶ気温が低かった。しかし湿度はかなり高い。極東の夏である。
ソウルには1泊もしない。今夜の便でバンコクに向かう。東南アジアに着けば、極東の湿度から脱出できる。
気候がめまぐるしく変わる旅である。
真夏に東南アジアに向かう人から、避暑という言葉を聞くようになって10年ほどになる。少し話を盛っている気もするが、たしかにこの時期、東京よりバンコクのほうがすごしやすい。2日前、バンコクに行くという話を知人に伝えると、「避暑ですか」という言葉が返ってきた。
もちろん避暑ではない。「歩くバンコク」の入稿作業が待っている。
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Posted by 下川裕治 at 12:17│Comments(1)
この記事へのコメント
下川先生の番組が楽しみです(^_^)
Posted by マロンクリーム at 2024年07月23日 23:10
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