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ナムジャイブログ

2024年08月26日

【イベント告知】新刊『日本ときどきアジア 古道歩き』発売記念

下川裕治の新刊『日本ときどきアジア 古道歩き』発売を記念して、トークイベントを開催いたします。

詳細は以下です。ぜひ、ご参加ください!

◆下川裕治さん  トークイベント◆
「日本&アジアの古道を巡る旅の魅力」
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新刊『日本ときどきアジア古道歩き 』(光文社知恵の森文庫)の発売を記念して、旅行作家の下川裕治さんをお招きして、日本やアジアの古道を巡る旅の魅力についてスライドを眺めながらたっぷりと語っていただきます。

前作『シニアひとり旅 ロシアから東欧・南欧へ』では、憧れのシベリア鉄道でめぐるロシア、重い歴史と生きるポーランド、路地裏のギリシャ、旧ソ連の崩壊で生まれたアゼルバイジャン、アルメニア、ジョージアなど、ロシア、東欧、南欧を巡る旅をシニアならではの目線で紹介していた下川さん。

新刊は、熊野古道、沖縄古道、鳥嶺古道・朝鮮人街道や台湾の馬胎古道、カンボジアのアンコール古道など、日本やアジアの歴史的な古道を歩き、いにしえの人々に思索を巡らせながら古道歩きの魅力について綴った1冊です。

実際に、日本やアジア各地の有名無名な古道をゆっくり気ままに自分のペースで歩いた下川さんだけに、古道を歩く旅の楽しみ方についての貴重なお話が聞けるはずです。下川ファンの方はもちろん、日本やアジアの古道に興味のある方や歩き旅が好きな方はぜひご参加ください!

※トーク終了後、ご希望の方には著作へのサインも行います。



下川裕治 (著)
日本ときどきアジア 古道歩き

光文社知恵の森文庫


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●下川裕治(しもかわゆうじ)

1954年長野県松本市生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。新聞社勤務を経てフリーに。アジアを中心に海外を歩き、『12万円で世界を歩く』(朝日新聞社)でデビュー。

以降、おもにアジア、沖縄をフィールドに、バックパッカースタイルでの旅を書き続けている。『「生き場」を探す日本人』『シニアひとり旅バックパッカーのすすめ アジア編』(ともに平凡社新書)、『ディープすぎるシルクロード中央アジアの旅』(中経の文庫)、『日本の外からコロナを語る』(メディアパル)など著書多数。  

◆下川裕治さんブログ「たそがれ色のオデッセイ」
http://odyssey.namjai.cc/
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【開催日時】 
9月6日(金) 19:30~(開場19:00) 

【参加費】  
1100円(会場参加)
 ※当日、会場にてお支払い下さい
1100円(オンライン配信) 
  ※下記のサイトからお支払い下さい
 https://twitcasting.tv/nomad_books/shopcart/

【会場】
旅の本屋のまど店内  
 
【申込み方法】 
お電話、e-mail、または直接ご来店の上、お申し込みください。
TEL&FAX:03-5310-2627
e-mail :info@nomad-books.co.jp
(お名前、お電話番号、参加人数を明記してください)
 
※定員になり次第締め切らせていただきます。

【お問い合わせ先】
旅の本屋のまど 
TEL:03-5310-2627 (定休日:水曜日)
東京都杉並区西荻北3-12-10 司ビル1F
http://www.nomad-books.co.jp

主催:旅の本屋のまど 
協力:光文社

  

Posted by 下川裕治 at 12:19Comments(0)

2024年08月26日

AIの電源を抜くのは人間ということ

『13歳のハローワーク』ではないが、僕も中学から高校に通っていた頃、おぼろげだが、将来の自分の職業を考えたことはある。もちろんいまの、文筆業を考えてはいなかった。というより、具体的な職業のイメージが浮かんでこなかった。ただひとつ、「こういう仕事は僕には向いていない」と思っていた分野があった。それは、「ミスを犯さないことで収入を得る仕事」である。
 たとえば列車の運転手という仕事がある。安全に乗客を運ぶということが職務の本質である。そういう仕事は向いていないと思っていた。ミスを犯さないことが前提になった仕事で、事故を起こすと大問題になる。そういう仕事をこなす自信はなかった。社会に出、運転手という仕事はそんなステレオタイプのものではないと知ったが、当時の僕の目に運転手という職種はそう映っていた。
 その心理を解析してみると、ミスを犯さないために、安全対策を怠らず、不安要素を理詰めで消すという作業が苦手だったということのような気がする。向いているのは、ミスは頻繁に犯すが、画期的ななにかを生む仕事……そこまで考えてはいなかったが。
 先日、サンフランシスコで無人タクシーに乗った知人の話を聞いた。どうもすごく快適らしい。
「とにかく運転手と話をしなくてもいい。そもそも運転手がいないんですから。それにチップもいらない……」
 僕が苦手だと思っていた運転手という仕事がコンピュータにとって変わっていく。AIの領域である。将来を考えれば、飛行機も無人化時代がくる気がする。タクシーの運転より無人化が簡単なような気さえする。
 AIの世界はアルゴリズムの領域である。アルゴリズムというのは、問題を解決するための手順や計算を指す。コンピュータの世界ではプログラミングがそれにあたるだろうか。コンピュータの世界は2進法だが、それが猛烈な速さで処理できるようになってきた。正確な理詰めがすごいスピードで処理される。それを活用して無人タクシーが実現した。
 ミスを犯すことが許されない分野では、AIは力を発揮する。運転手の仕事をAIが担うようになる……。話はそうシンプルには進まないとは思うが、その方向への道筋はできつつある。
 別にそういう時代を想定して、僕はミスを犯せない仕事を嫌ったわけではない。そもそも、中学や高校時代、コンピュータというものに触ったことがなかった。はじめてワープロのキーボードを打ったのは、就職してからのことだった。
 もっと早くAIの時代がきていれば、僕は将来の仕事から「ミスを犯させない仕事」をはずしたかといえば、違う気がする。AIは電源を抜けば動かなくなるからだ。道具にすぎない。その電源を入れるのも、抜くのも人間である。

■YouTube「下川裕治のアジアチャンネル」
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Posted by 下川裕治 at 12:10Comments(1)

2024年08月19日

旅に出る前はいつも心が重い

 子供の頃から理解に苦しむ言葉があった。遠足や運動会の日、「昨日の夜は興奮してよく眠れなかった」という表現である。興奮という言葉の背後には、楽しみにしているといった意味合いが含まれていると思う。
 災害などのトラブルで遠足や運動会が中止になったとき、テレビを観ていると、子供たちのこんなコメントが流れる。
「楽しみにしていたのに残念です」
 この言葉にも僕は首を傾げる。
 僕はこの種の学校のイベントを嫌っていたわけではない。ごく普通に参加している。とりたて運動能力が高いわけではないが、低いわけでもない。だからなのかもしれないが、特別の期待もなかった。つまり、楽しみにしていなかったのだ。だから「興奮して眠れなかった」という実感がわからない。
 僕にとってこの種のイベントはあってもなくてもよかった。学校というものはそういうものだと思っていたから参加していたが、もし、自由参加なら、僕は休んでいたと思う。準備などが面倒なのだ。僕はそういうタイプの子供だった。
 これだけ旅に出、旅行作家の肩書までいただいているのだが、いまだに旅に出る前は気分が重くなる。トラブルに巻き込まれるのではないか……と不安になる。なぜ旅に出ることを決めたのだろうと後悔する。その思いを胸に旅の準備をしなくてはならない。現地に着いてしまえば、旅の世界に没入し、「やっぱり旅に出てよかった」と思うのだが、旅立つ前はなかなか腰があがらないのだ。
 その針がいちばん振れるのは山に登る前だろうか。東京の高尾山のように2、3時間登れば山頂に着く山ではなく、本格的な北アルプスになると不安は増幅する。山の場合は、筋力を含めた体力の問題になってくるから、途中でバテてしまうのではないか、といった心配に苛まれてしまう。山に行く前日は緊張する。それは楽しさなどとはほど遠く、いっそのこと山に行くことをやめてしまおうかとすら考えてしまう。
 年をとるということは、筋力が弱くなっていくことだから、若い頃、よく山に登った人にかぎって心は揺れるわけだ。
 しばらく前の僕がそうだった。しだいに山に登る自信がなくなり、知人から誘われても躊躇してしまう。
 いまの僕の体力はどのくらいなのかがわからない。そういう測定器でもあればすっきりするのだが、山登りには精神力のようなものもかかわってくる。その兼ね合いが難しいのだ。
 数年前から古道を歩くようになった。その旅は『日本ときどきアジア 古道歩き』(光文社知恵の森文庫)にまとまったが、古道といってもまちまちだ。熊野古道を歩く前は、山登りに近い緊張があった。しかし心の揺れ幅は山よりは小さい。年齢と旅の折衷案という気がしないでもない。
 しかしそんな古道歩きでも、その前日は不安になる。楽しくはない。それが僕の旅というものらしい。

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Posted by 下川裕治 at 11:20Comments(0)

2024年08月13日

【新刊プレゼント】日本ときどきアジア 古道歩き

下川裕治の新刊発売に伴う、プレゼントのお知らせです。

【新刊】日本ときどきアジア
古道歩き




下川裕治 (著)
日本ときどきアジア 古道歩き

光文社知恵の森文庫


◎ 本書の内容

バックパッカースタイルでアジアを自由に旅する著者が、老境にさしかかって楽しみを見いだしたのが、ゆっくり気ままに自分のペースで行く「古道歩き」。
歴史的なテーマを持って有名無名さまざまな古道を歩き、いにしえの人々に思索をめぐらせ、感慨に耽る。
そこには年齢を重ねた今だからこそ見えてくるものがある。

第一章 熊野古道──「歩くという修行」の先の浄土
第二章 沖縄古道──黒糖と泡盛の往来を辿る
第三章 鳥嶺古道・朝鮮人街道──朝鮮通信使の道
第四章 馬胎古道──台湾・先住民族の生活の道
第五章 アンコール古道──いまだ現役の石橋1989年、ベルリンの壁が崩壊したこと


【プレゼント】

新刊本『日本ときどきアジア 古道歩き』 を、

抽選で"3名さま"にプレゼントします!

特に応募条件はございません。
タイ在住+日本在住の方も対象ですので、どうぞ奮ってご応募ください。


応募は以下の内容をご記入の上、下記のお問合せフォームよりご連絡ください。応募受付期間は2024年8月25日まで。当選発表は発送をもってかえさせていただきます。

えんぴつお問合せフォーム
http://www.namjai.cc/inquiry.php


1.お問合せ用件「その他」を選んでください。

2.「お問い合わせ内容」の部分に以下をご記載ください。

・お名前
・Eメールアドレス
・郵送先住所
・お電話番号
・ご希望の書名
 (念のため記載ください)


今すぐほしい!という方は、下記アマゾンから購入可能です。

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Posted by 下川裕治 at 13:40Comments(0)

2024年08月13日

旅の途中で浮かぶ言葉

「歩いても、歩いても、熊野古道である。」
 先週、発売になった『日本ときどきアジア古道歩き』(光文社知恵の森文庫)の書き出しである。この文言は、熊野古道を歩いているとき思いついた。書き出しとしての評価は別にして、熊野古道歩きはまさにそんな感じだった。熊野古道は、大辺路、中辺路、小辺路という道がある。そのなかでいちばん短い小辺路を歩いたのだが、それでも約36キロもある。2日間かけて歩いたが、途中で飽きがくるほど長い。
 本を書くために古道を歩いた。常にどう書こうかと思案しながら歩いているわけではないが、頭のどこかで本のことは考えているわけだから、ぽッと言葉が浮かんでくることがある。急いでその一文をノートに書き記す。なんだか本を一冊書きあげたような錯覚に陥り、気分が少し楽になる。
 旅をつづけながら言葉を探している。僕の旅はいつしかそうなってしまった。
 自分にとってしっくりくる言葉がみつかったとき、いい文章にまとまるような気になってしまう。実際に原稿にする段になると、そうもいかないのだが。
 旅の途中でみつけた言葉はいくつも覚えている。
『12万円で世界を歩く』という本が、僕の実質的なデビュー作だが、「北京発ベルリン行き列車、28日間世界一周」の章は、
「列車は吹雪をまとっていた。」
 という一文ではじまっている。「ついにニューヨーク到達。アメリカ大陸、1万2200キロ」の章は、
「豊かさが沁みた。」
 という書き出しだ。どの言葉も、頭のなかに浮かんできた瞬間を覚えている。
 原稿を書いて収入を得るという視点で眺めると、旅行作家という分野は効率がひどく悪い。旅に出ている間、原稿を書くことができないからだ。新聞社を辞め、フリーランスになったとき、先輩からこういわれたものだった。
「間違っても旅を書くライターにはならないこと。取材効率が悪いからね」
 その間違っても……という世界に足を踏み入れてしまった。そのデビュー作である。僕はなんとか効率を高めようと、書きはじめの一文を探しながら旅をつづけたのかもしれない。その癖がついてしまったのだろうか。
 コロナ禍は旅行作家の息の根を止めるような状況をつくった。僕はそれに反発するように、PCR検査を受け、隔離を受け入れて旅をした。そのときの旅はネットの世界などで発表しているが、旅の途中、原稿の書きはじめの一文はひとつも浮かんでこなかった。やはりコロナ禍の旅は、さまざまなチェックに翻弄され、言葉をみつける余裕もなかったのだろう。
 しかし古道を歩く旅では、その途中でいくつかの言葉が浮かんできた。やはり旅が戻ってきたということなのだろう。
 この本には沖縄の古道やアンコールワットの古道などが収録されている。沖縄古道の書きはじめは、こんな一文にした。
「島の古道は船の航路である。」
 鹿児島を発ち、沖縄本島に向かう船が、沖永良部島の和泊港を出航したときに浮かんだ言葉だ。

■YouTube 「下川裕治のアジアチャンネル」
https://www.youtube.com/channel/UCgFhlkMPLhuTJHjpgudQphg
面白そうだったらチャンネル登録を。
■ツイッターは@Shimokawa_Yuji


  

Posted by 下川裕治 at 13:30Comments(0)