インバウンドでタイ人を集客! 事例多数で万全の用意 [PR]
ナムジャイブログ

2024年08月26日

AIの電源を抜くのは人間ということ

『13歳のハローワーク』ではないが、僕も中学から高校に通っていた頃、おぼろげだが、将来の自分の職業を考えたことはある。もちろんいまの、文筆業を考えてはいなかった。というより、具体的な職業のイメージが浮かんでこなかった。ただひとつ、「こういう仕事は僕には向いていない」と思っていた分野があった。それは、「ミスを犯さないことで収入を得る仕事」である。
 たとえば列車の運転手という仕事がある。安全に乗客を運ぶということが職務の本質である。そういう仕事は向いていないと思っていた。ミスを犯さないことが前提になった仕事で、事故を起こすと大問題になる。そういう仕事をこなす自信はなかった。社会に出、運転手という仕事はそんなステレオタイプのものではないと知ったが、当時の僕の目に運転手という職種はそう映っていた。
 その心理を解析してみると、ミスを犯さないために、安全対策を怠らず、不安要素を理詰めで消すという作業が苦手だったということのような気がする。向いているのは、ミスは頻繁に犯すが、画期的ななにかを生む仕事……そこまで考えてはいなかったが。
 先日、サンフランシスコで無人タクシーに乗った知人の話を聞いた。どうもすごく快適らしい。
「とにかく運転手と話をしなくてもいい。そもそも運転手がいないんですから。それにチップもいらない……」
 僕が苦手だと思っていた運転手という仕事がコンピュータにとって変わっていく。AIの領域である。将来を考えれば、飛行機も無人化時代がくる気がする。タクシーの運転より無人化が簡単なような気さえする。
 AIの世界はアルゴリズムの領域である。アルゴリズムというのは、問題を解決するための手順や計算を指す。コンピュータの世界ではプログラミングがそれにあたるだろうか。コンピュータの世界は2進法だが、それが猛烈な速さで処理できるようになってきた。正確な理詰めがすごいスピードで処理される。それを活用して無人タクシーが実現した。
 ミスを犯すことが許されない分野では、AIは力を発揮する。運転手の仕事をAIが担うようになる……。話はそうシンプルには進まないとは思うが、その方向への道筋はできつつある。
 別にそういう時代を想定して、僕はミスを犯せない仕事を嫌ったわけではない。そもそも、中学や高校時代、コンピュータというものに触ったことがなかった。はじめてワープロのキーボードを打ったのは、就職してからのことだった。
 もっと早くAIの時代がきていれば、僕は将来の仕事から「ミスを犯させない仕事」をはずしたかといえば、違う気がする。AIは電源を抜けば動かなくなるからだ。道具にすぎない。その電源を入れるのも、抜くのも人間である。

■YouTube「下川裕治のアジアチャンネル」
https://www.youtube.com/channel/UCgFhlkMPLhuTJHjpgudQphg
面白そうだったらチャンネル登録を。
■ツイッターは@Shimokawa_Yuji




Posted by 下川裕治 at 12:10│Comments(1)
この記事へのコメント
まさに、『2001年宇宙の旅』ですね。
Posted by にゃぴ at 2024年08月26日 23:35
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。