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ナムジャイブログ

2024年11月04日

発売の『歩くバンコク』はバンコクに行った気にさせてしまう?

『歩くバンコク』が発売になる。正式な発売日は11月5日だが、多くの書店がすでに店頭に並べていると思う。
 世界を新型コロナウイルスが席巻していた時期、『歩くバンコク』も一時、休刊していた。再開されてから早いものでもう3号目になる。
 制作を委託していたあるフリーペーパーがウエブ版に移行してしまい、それでもなんとか年に1回の発行はつづけていたが、そこを直撃したパンデミック。『歩くバンコク』は息の根を止められたようなものだった。その後、感染が収束に向かい、さて……とバンコクを見渡したとき、制作に協力してくれた人の多くが日本に帰国してしまっていた。制作スタッフを探すことからはじまった再開だった。コロナ禍でバンコクの店も大きく変わっていた。なんとかコロナ禍前のクオリティーを保つことを目標につくったのが再開1号だった。2号目で、スタッフも慣れてきた。そして3号目の今回、アユタヤとパタヤを加えた。さらに100本近い動画を掲載した。
『歩くバンコク』は紙媒体である。そこに動画? 間をつないでくれたのはQRコードだった。誌面にQRコードを掲載し、それをスマホで読みとると、動画が再生される。電車の切符の買い方、タクシーを呼ぶ配車アプリの操作……といった実用的な動画に加え、紹介する店の料理や店内の様子、駅からの道なども動画で見ることができる。
 ネット文化に押され、紙媒体は衰退の一途を辿ってきた。『歩くシリーズ』も同様で、一時は世界の10都市以上のガイドを発行していたが、年を追うように発行都市が減っていった。
 その間もネット文化は加速度がついたかのように広がっていった。文章から写真へ、そして動画へ。その進化が紙媒体をつなげてくれた。QRコードを読み込めば情報や動画をスマホで見ることができるシステムは、ひょっとしたら紙媒体を救済してくれるかもしれないとも思う。
 そこで今回の『歩くバンコク』は、動画にトライしてみようと思った。当初は、
「10本程度、多くても20本」
 と踏んでいたが、続々と動画が送られてきて、最終的には100本を超えた。スマホで簡単に撮影できるようになった動画の広がりをいまさらながら思い知らされたが、皆、動画撮影は素人だった。特別な機材があるわけではない。手振れもある。
 編集段階でその動画を編集部や出版社の担当者で観てみてもらった。
「これ、巧みに編集されたものより返って観いってしまう」
「リアリティ……すごく伝わりますよ」
『歩くバンコク』はガイドブックにリアイティを求めていた。「店内は扇風機だけなので暑い」「昼にいったら満席で入れなかった」と堂々と書くことにしている。バンコク在住のスタッフの本音を伝えることがリアリティに通じると思っている。
 動画から伝わるリアリティ……そのまま掲載に踏み切った。
 正式な発売は5日だが、書店によっては2~3日前には販売をはじめる。購入した読者からさっそく評価が届く。
「動画、画期的です。こんなガイドブックははじめて」
「動画、いいですね。すっかり行った気にさせてくれます」
 編集に携わった身として、この評価が気にかかる。
「行った気にさせる? それまずくない? ガイドブックって行く気にさせないといけないんじゃない?」
 動画のリアリティは諸刃の剣か。

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Posted by 下川裕治 at 13:03│Comments(2)
この記事へのコメント
 「歩くシリーズ」発売おめでとうございます。まさに「おめでたい」事と思っております。恐らく「歩くシリーズ」は、旅立つ人をいかに育て背中を押すか、と言う願いが込めれているものと勝手に思っております。私の場合ですが、居ても立っても容れなくなり、後先考えず格安航空券を雑誌で探し、荷支度した記憶があります。若かったのかも知れません。しかし、いい加減歳を重ねた今でも、旅立つ事を思うと胸の高鳴りを覚えるのであります。こんな事、誰にでもは言えるものでは有りません。旅は良いです。その素質を持つ人は限られるかも知れませんが、その素質を内に持つ人には「歩くシリーズ」に揺さぶられて欲しいものです。私はブログを書いておりますが、文字だけです。文章を書きたかったのかも知れません。ある時バンコクの街角のバーで朝食がてらブログを書いておりました。ふと顔を上げると山内さんが目の前を歩いておられました。ああ、この様にして「歩くシリーズ」は形作られたのだなぁ……。などと今更ながら感じております。本当におめでとうございます。
Posted by SATOSHI at 2024年12月23日 17:01
 歩くシリーズ発売おめでとうございます。仰る通り私もブログを書いておりますが、やはり動画とは別物と感じでおります。写真すら使わずひたすら文章のみで思いを綴って来ました。細切れの刺激的な動画で飽きさせ無い手法は分かります。今の人達はその手法に脳が作り替えられてしまわ無いのかなと、心配もします。自分もです。抵抗です。「書く」ことも「読む」ことも今や重労働です。「だって読むの面倒臭いじゃん」と言われたら「……」ですけど……。私は「旅」が好きです。暫く仕事を日々の生活を続けていると無性に旅立ちたくなります。居ても立ってもいられなくなります。今の人達にも旅立って貰いたいと思います。バンコクのバーで朝飯を食べていましたら、山内さんが通り掛かられました。こうやって「歩くバンコク」は作られているんだなと……。とにかく、おめでとうございます。
Posted by SATOSHI at 2024年12月28日 10:55
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