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ナムジャイブログ

2015年11月23日

ヘイズの空と油が多いタイ料理

 今年の後半、しばしばシンガポールとマレーシアを訪ねた。本を書く目的だったがいつも空はどんよりと曇っていた。とくにクアラルンプールはひどかった。かざす手の先がかすむほどだった。
「ツインタワーにあがっても、なにも見えないですよ」
 マレーシア人はそういった。
 ヘイズである。
 スマトラ島の大規模な野焼きや山火事の煙が、モンスーンに乗って、シンガポールやマレー半島の空を覆ってしまう煙害である。今年はとくにひどいらしい。
 野焼きはアブラヤシのプランテーションで行われる。いま、マレーシアやインドネシアでは、急速にアブラヤシのプランテーションが増えている。
 アブラヤシからはパーム油がとれる。多くが植物性油として料理などに使われる。プランテーションが増えているということは、油の消費量が増えているからだ。
 世界の植物性油の推移を見ると、ここ20年で2倍ほどに増えている。つまり、人間はここ20年で、2倍の油を口にするようになったわけだ。肥満が増えるのも当然だろう。
 バンコクにいる。ソイの奥にある食堂に入ることが多いが、使う油の量が増えていることは実感する。ちょっとした炒めものもオイリーになってきた。そのほうが安易においしさを引きだせるからだ。
 昔のタイ料理は、さらさらしていた。辛いのだが、そこには軽さがあった。しかし最近のタイ料理の辛さは重い。油が多くなっているのだろう。
 バンコクでタイ料理を習ったという女性がこんなことをいっていた。
「人気料理のプーパッポンカリーってあるじゃないですか。あれって、意外と簡単なんです。油に香辛料を入れてつくりはじめる。その油の多いこと。多くないとおいしくないんです」
 人気のタイ料理は、油が多めという傾向がある気がする。日本人がガパオという、パッパイガパオにしても、パッタイにしても。鶏肉を炭火で焼いたガイヤーンより、油は確実に多いはずだ。
 困ったことに、油の多い料理は癖になっていく。さっぱりした味にもの足りなさを感じてしまうようになる。昔に戻るのが難しいのだ。
 世界の人々が油の多い料理に走り、その結末の肥満に悩む。油をつくるためにアブラヤシのプランテーションが増え、その煙害にマスクを買う。世界は、あいも変わらず、この流れのなかで右往左往している。


Posted by 下川裕治 at 13:14│Comments(2)
この記事へのコメント
それだけヘイズの被害がひどいと、日常生活にもかなり影響が出てしまいそうですね。
私は気管支があまり強くないので、想像するとちょっとおそろしいです。
確かにタイ料理はたっぷりの油で炒めるものが多いイメージですね。
プーパッポンカリーなど、胸焼けしてしまうのであまり量は食べられませんが、時々無性に食べたくなります。
空芯菜炒めも大好物です。
あぁ、やっぱり油を使う料理はクセになっちゃいますね。
Posted by たぬきまるようこ at 2015年11月23日 19:10
下川さんこんにちは。
先日ドンムアン空港から帰国しました。
香港スタートでクアラルンプール陸路でペナン、ハジャイ、スラタニー、パンガン島、ドンサック、バンコク、ドンムアン空港の旅でした。

香港島は対岸のネオンがモヤがかかっていてヘイズの影響?
中国のPM2.5の影響?
か残念な夜景でした。

途中クアラルンプールに立ち寄ったのですが雨上がりに到着したせいかクアラルンプールの空はクリアでした。
ヘイズの影響が少ない時にやり過ごせて良かったです。

雨が空を洗ってくれるんですね。

アジアには夕立?スコールは必要なんだなぁ。と思いました。
Posted by たぬきまるだいすけ at 2015年12月08日 16:29
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