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ナムジャイブログ

2018年06月18日

治安に戸惑う

 パキスタンのラホールにいる。というか今、ホテルに着いた。こちらの時刻で午前1時。バンコクは午前3時、日本は午前5時である。
 久しぶりのパキスタンだが、街はにぎやかだ。飛行機は空席が目立った。別の文化圏に入った気がしないでもない。
 バンコクからの便だったが、検索すると多くがドバイやオマーンの経由便だった。運賃も高い。一番安い便は、週に何便かあるタイ国際航空のラホール行きだった。
 乗ってみると、座席の2割も埋まっていなかった。体を横にして眠ることができたが、やがて運休になってしまう気がする。
 東南アジアと東アジアはひとつの文化圏をつくっている。人の往来も激しい。僕は日本とタイを結ぶ便によく乗るが、どの航空会社の便に乗っても、ほぼ満席に近い。しかしバンコクからパキスタンに向かう便になると、急に密度が薄くなる。パキスタンは中東の文化圏に入っているわけだ。
 東南アジアとパキスタンの間には、インドというややこしい大国がある。ここが境界というっことだろうか。
 パキスタンにやってきたのは、玄奘三蔵が中国からインドに向かった道を辿っているからだ。前回、ウズベキスタンに向かいアフガニスタン国境の、テルミズまで行った。そのまま越境できればよかったのだが昨年あたりから、アフガニスタンへ入国することが難しくなってしまった。そのため一旦帰国し、パキスタンにやってきた。明日、ペシャワルに向かい、そこからブッダガヤをめざすことになる。
 アフガニスタンへの入国が難しくなったのは、日本政府の横やりである。アフガンスタン政府は、以前と同じように日本人に対しても国を開いているのだが、日本政府が危険と判断した。ビザをとるためには、外務省が発行する許可証が必要になってしまった。その背後には、日本特有の自己責任論とのせめぎあいがある。
 アフガニスタンはそれほど危ない国ではない。たしかにテロは起きているが、その数が特別に多いわけではない。以前、アフガニスタンやパキスタン周辺を歩いた経験からすると、パキスタンのほうが不穏な気がした。ラホールの食堂に入ると、隣にいた男が、自動小銃をどんとテーブルの上に置いて食事をしていた。アフガニスタンでは目にしないことだった。アフガニスタン問題にしても、パキスタンが深くかかわっている。もともとタリバンはパキスタンで生まれた組織だった。
 しかし夜のラホールはネオンが輝き、人々が普通に歩いている。繁華街を見るかぎり、不穏な空気は伝わってこない。
 海外に出るたびに、治安とはなんなのかと自問する。日本で得る情報とのずれに悩んでしまう。明日からパキスタンを歩く。治安というものに戸惑いながらの旅になる予感がする。

■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=玄奘三蔵が辿ったシルクロードの旅。いまは中央アジア編を連載中。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。インドネシアの列車旅の連載中。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記


Posted by 下川裕治 at 17:02│Comments(0)
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