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ナムジャイブログ

2019年03月06日

植物に嗤われる

 4日前に帰国した。それから2日間、寝込んでしまった。体が自分のものではないような違和感があった。
 バグラデシュのダッカを発った飛行機は午前2時発。バンコクで1泊し、翌日の夕方のキャセイ・パシフィック航空で帰国したが、乗り換えの香港を発ったのが、午前1時。1日置いて2回、夜行便に乗ったことになる。それが原因のような気もする。
 成田空港に着き、ターミナルを出た。やはり日本は寒い。そのとき、いつもと違う感覚があった。やはり、疲れていた気がする。
 本の締め切りが続いていた。1冊の本の原稿を書くとき、終盤になると、睡眠がめちゃくちゃになってしまう。30分寝て、2~3時間原稿を書く……。それが何日も続く。そんなペースになってしまうのだ。よくないとは思うが、癖のようになってしまった。
 ようやく原稿を書きあげた体でバングラデシュに向かった。ほかの国に比べ、バングラデシュはやはり疲れる。きっと疲労が滓のように体に溜まっていた気がする。
 寝ること──。僕は寝ることで、これまで、仕事をこなしてきたようなところがある。原稿が進む時期というものがある。人それぞれだろうが、僕は圧倒的に寝起きである。やはり頭がすっきりとする。だから原稿が進まなくなると、迷わずに寝る。ただ締め切りが迫っているから、何時間も眠ることはできない。寝ているのか、寝ていないのか。なんだか、よくわからないうちに、やっと1冊の本を書きあげることができる。そんな暮らしをもう、何年も続けている。
 そのつけがまわってきたのだろうか。布団にくるまりながら、そんなことを考え続けていた。
 こういう体質を、寝不足に強い、といっていいのかもわからない。1日に何時間寝ているのか、自分でもよくわからなくなってきてしまうのだ。それでもなんとかやってこれた自信が、一度、寝込むと揺らいでくる。
 僕の家には狭い庭がある。そこに植えられている梅がいま満開である。その白い花をぼんやり眺める。
 植物はなんと規則正しい生き物なのかと思う。気温と日照時間にきちんと反応し、毎年花をつける。しっかりとした体内時計をもっている。
 ちょっと羨ましかった。
 もう、そろそろペースダウンを考えたほうがいいのだろう。若くはない。もっと生き物の時計で生きなければいけない。
 梅の花を眺めながら呟いてみる。
 しかし今月末までに、2冊の本を書きあげなくてはならない。それが終わるころは桜の季節か……。なんだか植物に嗤われている気になる。

■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=再び「12万円で世界を歩く」のシリーズが連載中。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。いまは番外編を連載中。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記


Posted by 下川裕治 at 11:40│Comments(2)
この記事へのコメント
いつも、自分が疲れたときにに、下川さんの書物を読んで、トリップした気になり、息抜きしてます。寝る前や、夜中に目覚めたときなど。

ありがとうございます。
Posted by たかしま at 2019年03月06日 12:05
下川さんの本はおもしろくてこれからもずっと読み続けたいので、ぜひとも身体を壊さないペースで続けていただけたらと思います。
Posted by まつし at 2019年03月09日 05:31
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