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ナムジャイブログ

2020年09月14日

コロナ禍の理不尽さでまた悩む

 新型コロナウイルスは人類に対して平等に悪さをする。その感染に、民族や貧富の差などない。世界の国々は、その感染を防ぐためにさまざまな方策をとっているが、そのなかにいる人間たちはあまりに不平等な環境に置かれる。それは理不尽にも映る。
 昨日、日本にいるバングラデシュ人たちと話をした。
 僕はバングラデシュ南部のコックスバザールの学校運営にかかわっている。バングラデシュは3月からロックダウンが続き、学校の休校も続いている。学校の先生たちの収入もなくなってしまい、急遽、日本でクラウドファンディングをはじめた。
https://a-port.asahi.com/projects/sazanpen_teacher/
 まだ途中だが、いただいた資金をどう支払っていったらいいのか、また、難しい問題を背負ってしまった。
 バングラデシュ人の口から出てきたのは、まず政府批判だった。ロックダウンを国は強いているが補償はほとんどない。融資の道はあるが、最終的には返済しなくてはいけない資金で、工場や商店の経営者は動かず、大量の失業者が出ているという。政府はそんな人たちに米の無料配布をはじめたが、その米も平等には配られていない。分配を担当する役人が転売する事態も起きているようだ。
 日本に暮らすバングラデシュ人は給付金を受けとっている。欧米各国がロックダウンに対して支払う補償も耳にしている。それに比べると、自分の国は……という論調に傾いてしまう。
 先進国とか、発展途上国といった表現をあまり使いたくない。しかし平等に襲われた新型コロナウイルスへの対応で、国というものを浮き彫りにさせてしまった。ここ数年のバングラデシュの発展には目を瞠るものがあった。このまま発展していけば……という期待はあった。ダッカのショッピングモールに入ると、もう発展途上国という枠組みを脱したのではないかと思うことすらあった。
 しかし新型コロナウイルスは、バングラデシュという国を一気に発展途上国に戻してしまった。政府や人々は、昔のままの民度を露呈させてしまった。
「皆、どうやって暮らしているの?」
「ごはんにガビっていうディップを載せて食べてるって友達はいっています。おかずはなしで我慢してるみたい」
 話は学校の先生の給料に及ぶ。給料がなくなってしまった人々が増えるなか、日本から送られる資金が先生に払われていく。
「先生たちの立場も微妙じゃないかな。ねたむ人が絶対に出てくるから」
「大きな額を送金しないほうがいいんじゃないかな。給料は半分ぐらいにするとか。コロナ禍なんだから」
 また悩まなくてはならない。

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Posted by 下川裕治 at 12:37│Comments(0)
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