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ナムジャイブログ

2011年05月02日

ひねくれ者のゴールデンウイーク

 日本はいま、ゴールデンウイークのただなかである。
 サラリーマンを辞めてから、連休とか休みというものと縁がなくなってしまった。仕事柄、海外に出ることは多いが、こういう時期は決まって日本にいる。
 航空券が高いからだ。それに席もとりにくい。夏休み、年末年始、そしてゴールデンウイークはいつも日本にいることになる。
 休日という概念すらなくなってしまった。世間の休日も、ただ、あたり前のように仕事をしている。いまも毎日、原稿書きに追われている。
 出版社の編集者は、基本的にサラリーマンだから、ゴールデンウイークは休暇をとる。そして締め切りは連休明けに設定されることが多い。
 結局、原稿用紙に向かうことになってしまうのだ。
 こういう生活を20年以上続けていると、性格というものがひねくれてくるような気がする。普通の暮らしができない体になってしまったといってもいいかもしれない。
 いま、信州の安曇野にいる。というと国内旅行と思われるかもしれないが、まったく違う。僕の実家が安曇野にあるだけのことだ。今回はいくつかの用事があり、数日を安曇野ですごすことになった。
 しかし世間はゴールデンウイークである。昨日、そばを食べにでかけた。実家の近くにある古民家をそば屋にした店だという。信州はそばの産地で、駐車場には、県外ナンバーの車がいっぱい停まっていた。
 建物は県の有形文化財に指定されているのだという。入ると土間があり、そこに土産品が置いてある。そばを食べるのは座敷。地元の名家だったのだろう。太い柱を使ったつくりはなかなかみごとだった。
 座敷に入ると、テーブルがいくつもおいてある。観光客はそこに座ってそばを食べる。
 一瞬、どこにいるのかわからなくなった。
 沖縄の赤瓦の民家を使ったそば屋にそっくりなのだ。もちろんそばは違う。家の構造や木彫りの装飾も違う。しかし、そこに流れる空気が一緒なのだ。作務衣のような制服を着た店員が注文をとりにくる。そこまで似ている。メニューの少なさも一緒だ。日本の観光地では、いま、こういう店が流行っている。
 日本という国は、どうしてこう一緒になってしまうのだろう。観光地の民家を使った店は、ことごとくこの雰囲気なのである。
 信州は震災の影響は受けていない。電気も中部電力の管轄だから、とりたて節電する必要はない。しかしスーパーやコンビニ、観光地の土産物屋……ことごとく薄暗い。東京と同じように節電モードなのである。
 そこに入るたびに、呟いてしまう。
「日本という国は、どうしてこう一緒になってしまうのだろう」
 しかしそういうことは、あまり大きな声ではいえない。世間というものは、そういうなかで動いているからだ。そして僕は、人が働いているときに、海外に出ることができる自由業の身である。世間とは違う時間感覚のなかで暮らしているのかもしれない。
 ゴールデンウイークは、ただ仕事に励む。最近はもう、いじけることもない。
 


Posted by 下川裕治 at 12:37│Comments(2)
この記事へのコメント
ゴールデンウィークの前に出発し、ゴールデンウィークに帰ってきた。ホーチミン、バンコクとまわってきた。無職である。恥ずかしいのだ。人が働いている時に旅行をし、陽に焼けて帰ってくる。どの面さげて両親に会うというのだ。ホーチミンでは、一人にさせてくれなかった。バイクどうだ。靴はみがかないか。ライターかわないか。みんな真面目で仕事をしている。旅行者が多いのに人擦れしていない。買い物の駆け引きだけで、友だちになってくれる。みんながみんな、そうではないが、基本的にやさしい。バンコクは冷たかった。都会であるからだろう。買い物で、極端に安い事をいうと、商品をひっこめて、あっちにいってくれといわんばかりだ。BTSに乗る。あちらこちらで、携帯電話で話している。日本では心臓のペースメーカーに影響を及ぼすというので、ひかえさせられている。バンコクでは、いいのか?今回の旅行でもうバンコクはいいと思った。寺とか観光すればいいのだが、足が不便でおっくうになっている。結局、エンポリアムだとか、マーブンクロンだとか、サイアムパラゴンとか、買い物ばかりになってしまう。あとはネットをやるくらいか。老後は、タイにロングスティとひそかに決めていたが、こういう日々を送ってしまうと、日本と変わらない。いや、かえって高くついてしまう。1食100円で月に2万円の生活など、私にはできはしない。希望を失った今、何を目標に、何を頼って生きていけばいいのだろうか。
Posted by akya at 2011年05月04日 01:28
十数年前に刊行されたアジア赤貧旅行等数冊バリ島で拝見させて頂き、下川さんの近況を知りたく思いネットで検索してみたらこのブログに辿り着きました。相変わらずアジアに足繁くお通いになり元気にされているようで嬉しく思いました。帰国後も既刊のご著書を拝見させてもらいます(^-^)/因みに金欠と時間を持て余してるためアジア赤貧旅行等数冊は古本屋でトレードしてしまいました(*_*) 帰国までに取り戻します。
Posted by gendai at 2011年05月08日 21:44
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