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ナムジャイブログ

2011年08月22日

キャッシングの違和感

 円高である。いま、この原稿を書いている時点で1ドル75円台になっている。日本の産業界は大変かもしれないが、海外に出ることの多い僕のようなタイプは、つい「にんまり」してしまう。旅の出費がずいぶん抑えられるのだ。
 以前は空港や国境で、日本円やドルの現金から両替することが多かった。トラベラーズチェックから両替できないエリアに出向くことが多かったからだ。しかしその後、カード文化が急速に広まっていった。最近はクレジットカードのキャッシングを利用することが多い。
 両替窓口で円高を実感できなくなってしまったが、カードを使うようになったのは、両替手数料をとられたくないからだ。国や銀行によっては、引き出し手数料が必要だが、現金を両替したときの手数料よりはだいぶ安い。
 とくに中国は露骨である。空港に入っている銀行で現金から両替すると、一律50元の手数料をとられる。日本円で600円ほどになる。
 昨年、中国の深せんの空港にいた。3時間ほど前には香港にいた。財布のなかには、60香港ドルほどが残っていた。飛行機の出発には時間があったので、空港ロビーの喫茶店に入った。支払いの段になって、香港ドルを出すと、「これは受けとれません。あそこの銀行で両替してください」といわれた。
 その窓口に香港ドルを差し出した。
「手数料が50元かかりますけど、いいですか」
「はッ」
「渡せるのは中国元で9元ほどになってしまいますけど」
 これではコーヒー代も払うことができなかった。なんという手数料だろうか。
 それから数ヵ月後、上海の浦東空港にいた。小額の中国元が必要になった。銀行には人が並んでいた。見るとその横に、自動両替機があった。世界の空港では、ときどきこの機械を見かける。しかしなんとなく不安で使うことはあまりない。しかし小額だからいいか……と千円札を入れてみた。機械から出てきたのは、20数元の中国元だった。続いて出てきた控えを見ると、千円は70数元になるのだが、そこから手数料の50元が引かれていた。
「機械でも50元か……」
 文句をいっても、冷たい返事が返ってくるだけなのだろうが、なんだかぼったくり機械にも映るのである。
 こういうことが続くと、どうしてもクレジットのキャッシングに走ってしまうのだ。精算日が違うので、両替レートを比べることは難しいが、両替手数料だけはとられずにすむ。
 自衛のために、キャッシングになってしまうのはしかたのない流れなのだろうか。しかし、ATMからカタカタと現金が出てくる感覚には、いまだになじめない。昨年、グルジアのトビリシからアルメニアのギュムリに列車で向かった。ギュムリ駅に着いたのは午前4時半だった。銀行も閉まっている。駅舎を出ると、ATMの機械だけ電気がついていた。客など誰もいない暗い駅前の機械にカードを入れ、暗証番号や金額を打ち込むと、見たこともない紙幣が出てきた。
「便利な社会か……」
 見上げると満天の星空だった。


Posted by 下川裕治 at 13:56│Comments(1)
この記事へのコメント
韓国へ最初に足を踏み入れたとき、どれだけ現金を持っていればいいのか迷った。有利な両替はでこかということも考えた。
次に挑戦したことは、韓国の銀行に口座を作ることだった。10年前当時は、割と簡単に作れたが、結局はあまり活用できなかった。キャッシングは韓国で覚えた。ただしハングル表示で苦労した。
中国に入国するようになって、両替窓口でお金を渡されるときの乱暴さに驚いたときもあった。
両替場所にも苦労した。そして、たどり着いたのが、中国でのキャッシングである。運がよければ・・・表示が漢語表示なので比較的迷わずにキャッシングができる。特に助かったのは田舎の町でもATMでキャッシングができることである。清朝の避暑山荘承徳では「ちょうど、中国工商銀行の表示が目に入る。手持ちの現金が少なくなった。こんな繁華街から外れたところにも中国工商銀行は支店があるのだ。クレジットカードでキャッシングを試みる。現金1000元(約1万5千円相当)をゲットした。
今回結局、一度も両替はしていない。すべて、キャッシングで済ませた。」こんな感じだった。ATMに鍵がかかっているのも中国らしかった。
ただし、キャッシングは後払いなので問題もあるようだ。
Posted by みなみやま at 2011年08月31日 17:09
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