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ナムジャイブログ

2012年02月13日

ウイグルパンとカップ麺

 中国へ行くと、パンという存在にいつも悩んでしまう。パンは主食なのか、菓子なのかという問題である。
 アジアは米を主食にするエリアが多い。そこでのパンは菓子化が進む。タイではパンのことをカノムパンという。カノムとは菓子のことだ。名前からして菓子なのだ。日本も似たような歴史を辿ってきた。菓子パンというジャンルもある。しかしアジアはその後、欧米風のパンが入り込み、それなりの棲み分けができてきている。
 しかし中国は困る。
 中国国際航空の北京ーウルムチ間の飛行機に乗った。機内食が出た。メインは牛肉飯だったが、その横に丸いパンが載せられていた。通常の機内食である。だが、パンを食べようとちぎると、なかから餡が出てきた。あんパンだったのだ。
 この発想にはついていくことができる。米が主食のエリアでは、パンは菓子という認識に近づくからだ。
 だが中国は広い。北に進むと、米文化が薄れていく。西の乾燥地帯に入ると、インドのナンのような円形のウイグルパンの世界に入る。
 もともと北方のものだったマントウは、いまや中国では一般的なパンである。小麦に酵母を加えて発酵させた蒸しパンである。ホテルの朝食バイキングには、必ずといっていいほど顔を見せる。日本流にいえば、具なし肉まんといったところだろうか。お粥とマントウという組み合わせは、中国の朝食の定番でもある。
 このマントウは甘くない。菓子化するアジアのパンとは一線を画している。主食といっていい気がする。しかしお粥の米も主食。いってみれば、マントウとお粥という組み合わせは、主食と主食を食べていることになる。
 ウルムチから列車に乗った。僕の前にウイグル人の青年が3人座っていた。昼どきになり、彼らは用意していたカップ麺にお湯を注いだ。イスラム教徒用のカップ麺がこのエリアでは売られている。すると彼らは、鞄のなかから円形のウイグルパンをとりだし、それをちぎってカップ麺のスープに浸して食べはじめたのだった。
 ウイグルパンはカップ麺と出合っていた。
 このパンは本来、ケバブを挟んだり、羊肉のスープと一緒に食べていたはずである。それがカップ麺と……。
 翌日も列車のなかにいた。僕はウイグルパンにソーセージを挟んで食べていた。しっかりした味のウイグルパンを、カップ麺に浸すのは忍びなかったのだ。すると、向かいに座っていた中国人からこういわれた。
「カップ麺につけて食べないんですか?」
 漢民族のなかでは、ウイグルパンを麺のスープに浸して食べることは当然のことになっていたのだ。
 ここでも主食と主食がぶつかっていた。
 これを食の融合といっていいのだろうか。


Posted by 下川裕治 at 14:45│Comments(0)
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