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ナムジャイブログ

2012年10月29日

泥縄の合理性

 タイで行われるマラソンの話を聞いた。なんでもタイという国は、毎週日曜日、必ずどこかでマラソンがあるそうだ。やはり走る人が多いのか、バンコクで開かれるマラソン大会がいちばん多いという。
 タイ人は歩くことが大嫌いなのに、走ることは好きという矛盾に満ちた民族である。これは暑いエリアに共通した性格のようで、沖縄の人も似ている。100メートル先のコンビニに飲み物を買いにいくのに車に乗るほど歩くことが嫌いだ。ところが那覇マラソンには、いそいそと参加する。僕はその感覚がどうしてもわからないでいる。
 タイのマラソンは参加を申し込む必要がないのだという。日曜日の早朝、スタート地点に集まればいい。ちゃんと警察もやってきて、道路の通行規制も行ってくれる。
 通行規制の情報は、市民には知らされない気がする。そんな案内は見たことがない。日曜日の朝、突然、道路が片側通行になったりするわけだ。それで波風ひとつたたないのが、バンコクという街である。
 日本のマラソン好きにしたら、羨ましいかぎりだろう。日本は必ず、事前に申し込まなくてはならない。人気のマラソンは抽選になる。東京マラソンなどは、抽選に当たると、宝くじに当選したかのように喜ぶ人も多いという。
 道路規制も1ヵ月以上前から、その案内が路上に掲示される。その日は渋滞が起きそうだから……と事前に伝える。それが日本という国である。
 タイ人は事前に予約を受け、人数を掌握してからイベントに臨むということが苦手だ。結婚披露宴も、案内状だけが届く。出欠については聞いてこない。
 多くのイベントが、参加人数がわからないままはじまる。日本人は、「なんという泥縄」と見くだすのかもしれないが、それでなんとかイベントがうまくいってしまうから、挙げた拳の落としどころがみつからないような、中途半端な気分を味わうことになる。
 日本人は参加人数をカウントし、事前に周到な準備をする。そのほうが合理的で、最終的にはかかる費用も少ないと考えている。
 しかしタイのやりかたを見ていると、日本人にしたら、目からウロコのような合理的な側面が浮き立ってくる。マラソンにしても、事前の準備はほとんどない。看板も立てない。費用をかけないから、参加費も200~300バーツ、つまり500~800円ほどですむ。安くて気楽だから、参加者も増えていく。
 日本式とタイ式──
 タイのやり方のほうが、楽しそうで、魅力的に映るのは、僕という人間が、日本式が生むストレスが辛くなってきているということなのだろうか。



Posted by 下川裕治 at 12:00│Comments(1)
この記事へのコメント
僕も録画よりLIVEのほうがおもしろいと思います。
Posted by かわぎし  at 2012年10月29日 21:06
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