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ナムジャイブログ

2016年11月14日

ラープママーの困惑

 日本で生まれたインスタント麺は、アジアでさまざまな味の麵になり、欧米ではスナックの道を走っている。しかしそこにはもうひとつの進化系がある。それは米やパンと並ぶような主食への道である。
 アジアでは麵はもともと主食の一部を占めていたから、そこにインスタント麺がすりすりと入り込んでいっても不思議ではない。
 しかしまったく別の料理にインスタント麵が投入されると、若干の戸惑いがある。
 たとえば韓国料理のブテチゲ。キムチに豆腐や野菜、肉などのほか、ソーセージやランチョンミートを入れるB級料理だが、その最後に、インスタント麵を入れる。日本の鍋の最後にうどんを入れる感覚に似ているが、それがインスタント麵となると、やはり戸惑ってしまう。インスタント麵はそれほどのものかという思いが錯綜してしまうのだ。
 しかし、タイの大衆食堂に入ると、さらに広いインスタント麵ワールドが待っている。
 タイでは、インスタント麵をママーと呼ぶ。ママーというインスタント麺のブランドが固有名詞化した例だ。そして大衆食堂には、ヤムママーという料理がしっかりと定着している。ヤムは和えるという意味になる。インスタント麵をベースに、さまざまな香辛料を入れ、エビや玉ねぎを加えている。おかずと主食の境界線上にある料理でもある。
 店によって味はかなり違うが、僕の好物でもある。
 先日、あるショッピングセンターのフードコートで、ママーカーム―という料理に出合った。カームーというのは豚足という意味。豚足をたれで煮込み、その肉と野菜などをご飯の上に載せるカオカームーは、タイ人の昼食の定番でもある。その米の代わりにママー……。
 どんなものかと食べてみた。店のおばさんは、ママーの麵をとり出すと、豚足を煮込むたれのなかに投げ入れてしまった。そこで麵を茹でるのだ。後はカオカームーと同じ要領で肉や野菜を麵の上に載せるわけだ。啜ってみたが、まずかった。アイデア倒れの感がある。やがて消えていく料理のように思う。
 さらに後日。有機食材を使い、うま味調味料を一切使っていないことが売り文句のソムタム店に入った。1品がどれも100バーツを超える高級店である。メニューを見ていると、ラープママーという料理に視線が止まった。ラープはミンチ肉を香辛料や野菜を入れて煮炒めした東北タイ料理だ。
 頼んでみた。さすがに高級店という味でラープとママーの絡み具合も絶妙だった。
 しかしふと考える。
 有機食材を使い、うま味調味料を使わない店がママーを使っていいのだろうか。店にいたのは健康志向のタイ人が多い。彼らもラープママーを食べている。
 ママーは別格ということなのだろうか。

■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=ミャンマー鉄道、終着駅をめざす旅がはじまります。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。難関のミャンマーの列車旅がはじまる。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記


Posted by 下川裕治 at 14:49│Comments(2)
この記事へのコメント
日本にいるとしたら、来月半ば還暦過ぎの同級生とプチ出会いしませんか。おいしそうな話きかせてください。
Posted by 瀬原田 at 2016年11月15日 21:47
有機野菜にインスタント麺!
何とも極端な組み合わせなんでしょう。
せめてノンフライ麺にしてほしいものですね。有機野菜が〜もったいないような…
Posted by たぬきまるだいすけ at 2016年12月03日 22:43
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