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ナムジャイブログ

2019年01月21日

ネット禁止系の店が増えていく?

『歩くパリ』というガイドの編集にかかわっている。ゲラを読んでいると、パリではパソコンもち込み禁止、Wi-Fiをあえて設置しないカフェがちらほら出てきている。
 せっかくの料理やコーヒーを「ながら」で味わってほしくない……という発想のようだ。料理をつくり、豆を選んでコーヒーを淹れる側にしたら、そういう心境になるのはよくわかる。主流になることはないかもしれないが、これから増えていきそうな気がする。
 さまざまな国のカフェに入るが、Wi-Fiはなかばあたり前のものになっている。それどころか、スマホが携帯電波を変換するようになり、Wi-Fiがなくてもインターネットにつながる状態に進んできている。
 しかし料理に力を入れる店にしたら、注文と同時にスマホをつなげる客を、忸怩たる思いで眺めているのは事実だろう。せめて食べている間ぐらい、スマホを切ってほしい……と。今後、スマホ禁止の店も出てくるかもしれない。
 通信技術の発達は、「ながら文化」を発展させた。それと拮抗するのがマナーというものである。「ものを食べながら電話をするのはやめなさい」と注意されて育った日本人は少なくない気がする。相手に失礼だ、という発想である。電車のなかで電話をかけないということもマナーの色合いが強い。
 しかしネットとなると、相手に状況はわからない。
 食事中であっても、トイレのなかにいても、相手には通常の連絡のように受けとられる。となるとマナー論は通用しなくなってくる。
 生活スタイルも「ながら文化」をつくりだす。生活が都市化するにつれ、ひとりで食事をとることが多くなる。注文をしてから、料理が出てくるまでの時間、ついスマホのスイッチを入れてしまう。そして、食べながらスマホの流れに入っていってしまう。
 ネット機能は、これからもその訴求力を強めていくのだろう。動画はますます「ながら文化」を増長させていく。
 人間の意志の力では、ネットを断ち切ることができない? そんなことはないのだろうが、そう思えてしまう状況はさまざまところで目にする。いま、バンコクにいるが、夕方に安い食堂に入ると、ほぼ全員がスマホをいじっていることがある。そして出てきた料理を、スマホを見ながら食べはじめる。日本でも、昼に食堂に入ると、ひとり客は全員スマホ組だったりする。だから、パリに増えてきたという、ネット禁止系のカフェ?
 ネット禁止系のカフェがあったら、僕は進んで入っていくような気がする。そういう時間がほしくてたまらないというのに、ついネットをつないでしまうからだ。
 問題はネット禁止系の店の採算?

■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=再び「12万円で世界を歩く」のシリーズがはじまります。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。いまは番外編を連載中。
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Posted by 下川裕治 at 11:34│Comments(0)
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