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ナムジャイブログ

2020年11月02日

安全情報は形骸化?

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、世界の国々は出入国に制限を加えてている。しかしいつまでも規制を続けるわけにはいかない。経済が停滞してしまうからだ。とくに観光への依存度が高い国ほど、制限の解除に動く。
 規制の緩和はヨーロッパからはじまっている。ざっと調べると、イギリス、フィンランド、ポーランド、ポルトガル、オランダ、トルコ、ヨルダンなどに、日本人は自由に入国することができる。PCR検査の必要もない。もちろん2週間の隔離もない。普通の海外旅行ができるのだ。もっとも日本帰国時に、自宅での2週間の隔離は避けられないが。
 そこにアメリカのハワイが加わりそうな気配だ。アメリカ本土はまだ規制されているのだが、ハワイだけが緩和される。事前にPCR検査は必要だが、入国時の制限はない。
 つまり、日本帰国時に2週間の隔離さえ覚悟すれば、かなりの国に旅ができる。
 しかし僕の場合は、そこにもうひとつのチェックが課せられる。原稿を書くためにの基準のようなものだ。出版社や新聞社の社内規約のようなものだが、一般に外務省が出す安全情報をもとにしている。安全情報は4レベルにわかれている。
レベル1:十分注意してください
レベル2:不要不急の渡航は止めてください
レベル3:渡航中止勧告
レベル4:退避勧告
 レベル2はグレーゾーンだが、レベル3以上は、原則、そのエリアに向かい原稿を書くことができない。紛争エリアに入るような取材は別だが、旅関係の原稿となると……。
 現在の安全情報はふたつの表示がある。ひとつは従来の危険度表示。主に治安上のレベルだ。そして今年の1月から感染症危険情報表示が加わった。そしてその表示はそれぞれ同じレベル1からレベル4で示される。
 日本人がほぼ自由に旅をすることができるヨーロッパを中心とした国々は、軒並みレベル3である。ハワイの入国が緩和され、12月からハワイアン航空、日本航空、全日空なので増便が発表されているが、ハワイもレベル3なのだ。
 出版社や新聞社が、外務省が出す安全情報を忠実に守っているわけではない。気にするのは、レベル3のエリアを紹介することへの読者の反応である。同調圧力への配慮といってもいい。
 日本政府が危険度レベルの緩和に慎重なことに対して、さまざまな意見が飛び交っている。新型コロナウイルスの感染度の評価の難しさもある。ある人は、「ただ混乱しているだけ」ともいう。「同調圧力への期待があるのでは」という声もある。
 しかし感染症危険情報表示は、企業や観光業界の動きのなかで、なし崩し的に形骸化していく流れが見えつつある。
 各国のビザ情報を調べていた若い頃を思い出す。「おッ、この国がビザなしになった」などと声をあげ、旅の目的地を決めていった時代。どこか似ている。


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Posted by 下川裕治 at 12:24│Comments(0)
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