2011年04月11日
健全さをとり戻すということ
震災と津波、そして原発の事故という日本にも、桜の季節がやってきた。
今年はできるだけ、お花見に出かけることにしている。
どこか打ちひしがれた気分で眺める桜は、ことのほか美しい。花というものは、そういうものらしい。
3月11日以来、雑誌や新聞に掲載されるコラムは、震災一色である。
そのなかで、右寄りといわれている人たちのコラムのテンションが妙に高い。「震災時やその後の停電のなかで商店の略奪がまったくない」という外国のメディアの記事を引用して、日本人の心を評価する。さまざまな場所に義援金箱が置かれ、そこに人々がお金を入れる姿に日本人の心を見る。復興に向けて、日本がひとつになっている……と美しい心を賛美する。
彼らは久しぶりに、日本人が同じ方向に向かっていることに美しさを感じるようだ。
花見をはじめとするイベント自粛も、その流れのなかにある。被災者が頑張っているのだから、ほかの人たちの浮かれ騒ぐのは控えようというわけだ。戦前の、兵隊さんが頑張っているのだから……という発想に似ている。
左寄りの人たちは、ひたすら反原発である。テレビに登場する専門家は、すべて原発推進派だと非難する。
震災から1ヵ月がすぎ、双方の主張への揺り戻しが起きてきた。自粛ムードに対しては、「こういうときこそ、イベントを行って活気を取り戻すべきではないか」と発言する人が増えてきた。反原発派に対しては、「原発の危険性を唱える前に、なんとか福島第一原発を安全な状態にする方策を」と口を開く。
日本はようやく、健全な状態に戻りつつあるようだ。いまの日本に覆いかぶさっているのは、精神論や原発の将来ではなく、目の前の復興なのである。
現実なのである。
作家の伊集院静が、震災後に書いたエッセイのなかでこう書いていていた。彼は仙台に住んでいる。
「人間の奥にあるものは困っている人がいるから彼等にすぐに手を差しのべることが易々とできるほど単純な構造になっていない」
その通りだと思う。被災者側のひとりから、こういう発信があると、救われるのである。
人間にはこういう天災が起きたとき、すぐにボランティアとして現地に駆けつけることができる人がいる。なんのわだかまりもなく、募金できる人がいる。
しかしなにもできない人もいるのだ。被災者に手を差しのべなくてはいけないことは百も承知だが、できないのだ。愚図といわれてもしかたない。すぐに行動に移すことができる人は、「なんでもいいから体を動かせばわかってくる」という。なにもできない人は、その言葉の前で黙るしかない。
しかし復興には10年、20年という歳月がかかる。3年後、その復興事業を、愚図といわれた人が支えていたりする。
健全な社会とはそういうものだと思うのだ。
今年はできるだけ、お花見に出かけることにしている。
どこか打ちひしがれた気分で眺める桜は、ことのほか美しい。花というものは、そういうものらしい。
3月11日以来、雑誌や新聞に掲載されるコラムは、震災一色である。
そのなかで、右寄りといわれている人たちのコラムのテンションが妙に高い。「震災時やその後の停電のなかで商店の略奪がまったくない」という外国のメディアの記事を引用して、日本人の心を評価する。さまざまな場所に義援金箱が置かれ、そこに人々がお金を入れる姿に日本人の心を見る。復興に向けて、日本がひとつになっている……と美しい心を賛美する。
彼らは久しぶりに、日本人が同じ方向に向かっていることに美しさを感じるようだ。
花見をはじめとするイベント自粛も、その流れのなかにある。被災者が頑張っているのだから、ほかの人たちの浮かれ騒ぐのは控えようというわけだ。戦前の、兵隊さんが頑張っているのだから……という発想に似ている。
左寄りの人たちは、ひたすら反原発である。テレビに登場する専門家は、すべて原発推進派だと非難する。
震災から1ヵ月がすぎ、双方の主張への揺り戻しが起きてきた。自粛ムードに対しては、「こういうときこそ、イベントを行って活気を取り戻すべきではないか」と発言する人が増えてきた。反原発派に対しては、「原発の危険性を唱える前に、なんとか福島第一原発を安全な状態にする方策を」と口を開く。
日本はようやく、健全な状態に戻りつつあるようだ。いまの日本に覆いかぶさっているのは、精神論や原発の将来ではなく、目の前の復興なのである。
現実なのである。
作家の伊集院静が、震災後に書いたエッセイのなかでこう書いていていた。彼は仙台に住んでいる。
「人間の奥にあるものは困っている人がいるから彼等にすぐに手を差しのべることが易々とできるほど単純な構造になっていない」
その通りだと思う。被災者側のひとりから、こういう発信があると、救われるのである。
人間にはこういう天災が起きたとき、すぐにボランティアとして現地に駆けつけることができる人がいる。なんのわだかまりもなく、募金できる人がいる。
しかしなにもできない人もいるのだ。被災者に手を差しのべなくてはいけないことは百も承知だが、できないのだ。愚図といわれてもしかたない。すぐに行動に移すことができる人は、「なんでもいいから体を動かせばわかってくる」という。なにもできない人は、その言葉の前で黙るしかない。
しかし復興には10年、20年という歳月がかかる。3年後、その復興事業を、愚図といわれた人が支えていたりする。
健全な社会とはそういうものだと思うのだ。
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Posted by 下川裕治 at 12:30│Comments(2)
この記事へのコメント
心の健全さをとりもどすために、バンコクとサイゴンに行く。18日18時のデルタに乗って、バンコクに24時に着く。それから朝まで空港で待って、7時のエア・アジアに乗ってサイゴンに行く。この行き方おかしいですか?一番安く行く方法考えたのだけれども。
要はバンコクを基点としてサイゴン行って、1週間ほど観光をして、またバンコクに戻り、今度は職を探す。
という冗談のようなこと、まじめに実行します。この時期だから。
要はバンコクを基点としてサイゴン行って、1週間ほど観光をして、またバンコクに戻り、今度は職を探す。
という冗談のようなこと、まじめに実行します。この時期だから。
Posted by akya at 2011年04月13日 03:18
私も反原発派(というか原発今までありがとう、でもこれからはさようならという感じです)ですが、復興の事も考えていますよ。でもその復興を阻害する最大の要因が原発なんですよ。もちろん後始末をどうするかは大切です。おそらく徐々に騙し騙し長期間掛けて原子炉を冷やししか方法は無いでしょう。でも同時にこのような悲劇が起こらないように別のエネルギー生産方法を考える必要もあるんじゃないでしょうか?ただ目の前の対策に負われて結局元の木阿弥ではまた同じ悲劇が襲い掛かるかもしれません。それでは地震の被害者も報われないと思います。
Posted by mzr at 2011年04月26日 02:24
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