2014年05月06日
タイに入国。世界が変わった
【通常のブログはしばらく休載。『裏国境を越えて東南アジア大周遊編』を連載します】
【前号まで】
裏国境を越えてアジアを大周遊。スタートはバンコク。カンボジア、ベトナムを北上。ディエンビエンフーからラオスに入国し、ルアンパバーン、サラブリを経てホンサー。タイ国境へ。
※ ※
ラオスとタイの国境。
朝……。
ラオス側のイミグレーションにいた。職員はぱらぱらとページをめくる。ラオスの入国スタンプを探しているようだった。何ページ目かにみつけると、なにも考えていないような呆けた面もちで、ポンとスタンプを捺してくれた。
「大丈夫……」
後ろで待つ阿部カメラマンに目配せを送った。なんだか晴れ晴れとした気分だった。
イミグレーションを出ると、目の前に舗装された坂道があった。山に向かって道は延びている。
「山の方」
近くにいたラオス人が指で示した。
そろいのジャージを着た若者が十数人、坂道を登っていた。どうもタイに働きにいくようだった。女性も多い。なにがおかしいのだろう。笑い転げながら坂道を登っていく。
なんだか朝のウォーキングを楽しんでいるような光景だった。彼らを追い抜いたり、追い抜かれたりしながら坂を登っていく。
1キロほど歩いただろうか。前方の坂の中腹に人だかりが見えた。車止めもある。タイ側のイミグレーションのようだった。
小さな小屋だった。そこに数人のラオス人が集まっていた。皆、パスポート以外の書類を手にしている。出稼ぎの許可証だった。女性の職員が僕らと目があった。手招きされ、パスポートを出すと、入国カードを手渡してくれた。
タイに入国した。
なんの問題もなかった。
さらに坂道を登ると、土産物屋を兼ねたような食堂があった。コーヒーを頼んだ。
すると店のおばさんはコーヒー豆を機械に入れて挽きはじめた。そして出てきたのはカプチーノだった。
世界が変わった。
ベトナムコーヒー、そしてラオスのコーヒー。それぞれがまずいわけではない。しかしバニラのフレーバーが効き、コンデンスミルクがたっぷり入るスタイルが多かった。しかし、目の前の出てきたのは、バンコクのコーヒー店で出るコーヒーだった。いや、日本のカプチーノと同じ味といってもよかった。こんな辺境の店にも、カプチーノなのである。
脇にロットゥーという乗り合いバンが待っていた。ナンまでひとり100バーツ、約300円だという。旅が急にスムーズに進みはじめているのがわかる。
しかしナンまでの道で、ロットゥーは3回も検問を受けた。ラオス人たちは、パスポートと書類を手に別室に入っていく。
「君たちはここで待ちなさい」
タイの兵士にいわれる。見ていると、兵士は乗客の鞄を入念に調べていた。麻薬? それとも銃火器? のんびりとした風景にはそぐわない検問だった。(以下次号)
(写真やルートはこちら)
この旅の写真やルート地図は、以下をクリック。
http://www.asahi.com/and_M/clickdeep_list.html。
「裏国境を越えて東南アジア大周遊」を。こちらは2週間に1度の更新です。
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裏国境を越えてアジアを大周遊。スタートはバンコク。カンボジア、ベトナムを北上。ディエンビエンフーからラオスに入国し、ルアンパバーン、サラブリを経てホンサー。タイ国境へ。
※ ※
ラオスとタイの国境。
朝……。
ラオス側のイミグレーションにいた。職員はぱらぱらとページをめくる。ラオスの入国スタンプを探しているようだった。何ページ目かにみつけると、なにも考えていないような呆けた面もちで、ポンとスタンプを捺してくれた。
「大丈夫……」
後ろで待つ阿部カメラマンに目配せを送った。なんだか晴れ晴れとした気分だった。
イミグレーションを出ると、目の前に舗装された坂道があった。山に向かって道は延びている。
「山の方」
近くにいたラオス人が指で示した。
そろいのジャージを着た若者が十数人、坂道を登っていた。どうもタイに働きにいくようだった。女性も多い。なにがおかしいのだろう。笑い転げながら坂道を登っていく。
なんだか朝のウォーキングを楽しんでいるような光景だった。彼らを追い抜いたり、追い抜かれたりしながら坂を登っていく。
1キロほど歩いただろうか。前方の坂の中腹に人だかりが見えた。車止めもある。タイ側のイミグレーションのようだった。
小さな小屋だった。そこに数人のラオス人が集まっていた。皆、パスポート以外の書類を手にしている。出稼ぎの許可証だった。女性の職員が僕らと目があった。手招きされ、パスポートを出すと、入国カードを手渡してくれた。
タイに入国した。
なんの問題もなかった。
さらに坂道を登ると、土産物屋を兼ねたような食堂があった。コーヒーを頼んだ。
すると店のおばさんはコーヒー豆を機械に入れて挽きはじめた。そして出てきたのはカプチーノだった。
世界が変わった。
ベトナムコーヒー、そしてラオスのコーヒー。それぞれがまずいわけではない。しかしバニラのフレーバーが効き、コンデンスミルクがたっぷり入るスタイルが多かった。しかし、目の前の出てきたのは、バンコクのコーヒー店で出るコーヒーだった。いや、日本のカプチーノと同じ味といってもよかった。こんな辺境の店にも、カプチーノなのである。
脇にロットゥーという乗り合いバンが待っていた。ナンまでひとり100バーツ、約300円だという。旅が急にスムーズに進みはじめているのがわかる。
しかしナンまでの道で、ロットゥーは3回も検問を受けた。ラオス人たちは、パスポートと書類を手に別室に入っていく。
「君たちはここで待ちなさい」
タイの兵士にいわれる。見ていると、兵士は乗客の鞄を入念に調べていた。麻薬? それとも銃火器? のんびりとした風景にはそぐわない検問だった。(以下次号)
(写真やルートはこちら)
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「裏国境を越えて東南アジア大周遊」を。こちらは2週間に1度の更新です。
Posted by 下川裕治 at 14:15│Comments(0)
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