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ナムジャイブログ

2020年06月29日

沖縄……離島の時差

 沖縄の石垣島にいる。本来なら、西表島に泊まるはずだった。上原港周辺の民宿やペンションなど8軒にあたったが、泊まることができなかった。休業、宿泊制限、満室などが理由だった。夕方の船で石垣島に戻るしかなかった。
 6月19日に日本国内の移動が可能になり、途中で中断してしまっていた取材を再開させることになった。
 沖縄の離島のバスをすべて乗りつぶすという酔狂な企画である。2月に久米島と宮古島のバスを乗り終え、さて……というとき、日本では、新型コロナウイルスの感染が広まってしまったのだ。
 その続きを石垣島からはじめたのだが、改めて、離島という意味を知ることになってしまった。
 沖縄の離島には、ふたつのカテゴリーがある。ひとつは石垣島と宮古島。もうひとつはそれ以外の離島グループである。
 沖縄本島、とくに那覇は本土化が急だ。もう東京と同じではないかと思うことがしばしばある。沖縄らしさを求めるなら離島……。那覇を脱出し、石垣島や宮古島へ向かう。島に流れる空気は十分に離島なのだが、そこからさらに小さな離島の土を踏むと、世界ががらりと変わる。
 6月19日の国内移動解除を経て、石垣島や宮古島の宿や商店はほとんどが再開した。石垣島の中心部は、新型コロナウイルスの感染前と変わりはなくなった。
 その感覚で、まず竹富島に渡った。高速船乗り場で、こういわれた。
「観光施設はすべて閉まっています。レンタサイクルや水牛車も休業です。それでも渡りますか」
「島内のバスは動いていますよね」
 バスに乗ることが目的の旅である。
「動いていますが、島民の方が優先なので、乗ることができないかもしれません」
 バスにはスムーズに乗ることができ、竹富島の集落に着いた。観光客はひとりもいなかった。強い日射しのなかで、しんと静まりかえっている。こんな竹富島は珍しい。40年前の竹富島がシンクロする。
 ビーチに出ると、10人ほどの観光客が遊んでいた。
「竹富島は横でつながっていますから、なかなか難しいんです。7月1日から一斉に再開するみたい。その会議が今日、それぞれの組合で行われます。石垣のようにはいかないんですよ。離島は」
 バスの運転手が説明してくれる。
 いったん石垣島に戻り、翌日、西表島に渡った。多くの店が休業していた。路線バスには乗り終えたが、宿は難しかった。いつ頃、本格的に再開されるかわからないという。すでに本土からの観光客は島に入りはじめているのだが。
「島の人はまだ怖いんです。東京や大阪からやってくる人が。それが離島です」
 西表島で会った老人はそういう。
 石垣島とその先の離島の間には、時差がある。それが離島というものらしい。
 島の人たちは国や県からの方針をしっかり守っていた。東京では今日も60人という感染者が出ている。

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○クリックディープ旅=沖縄の離島のバス旅がはじまります。
○旅をせんとやうまれけむ=つい立ち止まってしまうアジアのいまを。
○アジアは今日も薄曇り=沖縄の離島のバス旅シリーズがはじまります。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記
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Posted by 下川裕治 at 11:32│Comments(0)
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