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ナムジャイブログ

2020年12月14日

日本の外からコロナを語る

『日本の外からコロナを語る』(メディアパル)が発売になった。久しぶりに編集者として本づくりにかかわった。この企画がもちあがったとき、海外に住む知人たちに声をかけた。「いいたいことが山ほどある」という人たちに原稿を書いてもらった。
 本書の「はじめに」で、その経緯を僕がまとめている。
https://note.com/mediapal/n/n786d7b81442f
 新型コロナウイルスは、冷酷なほど平等に人間に悪さをする。肌の色や性別、そして暮らす環境はほぼ関係ない。海外に暮らす日本人も、日本にいる日本人も、同様にウイルスの攻撃を受けてしまう。
 しかしそれぞれの国の対応が違っている。罰金も課す厳しいロックダウンを敷いた国もあるかと思えば、日本のように自粛を貫く国もある。日々の生活は、その国の対策に左右されてしまう。そのあたりを浮き彫りにしたかった。
 フィリピンは世界でも最も厳しい規制が行われたといわれる。いまだ継続している規制もある。すでに解除はされたが、老人と子供は家から外に出ることができなかった。一歩も出歩けないのだ。原稿を書いてくれた知人の子供は約半年、ずっとマンションのなかで暮らした。よく耐えたと思う。
 アジアで多いのはネットで流れる感染者情報だ。名前こそ伏せられているものの、行動履歴が克明に晒されてしまう。たしかにこれを見れば、自分が感染者と接触したかどうかがわかるのだが、感染者はほぼ特定される。日本人の感覚からすれば、これはたまらないと思う。人間というものは、人にいえない行動というものがあるものだ。ウイルスの感染を防ぐことは必要だが、どこまで情報を明かすか……という点で、その国の肌感覚が伝わってくる。
 アジアに暮らす日本人の多くは、コロナ禍の給付金を受けとれなかった。住む国は外国人を除外する国も多く、日本は海外に住む日本人への給付をとりやめた。暮らす国や日本からもとり残されたような疎外感も味わっている。
 それでも皆の筆致に暗さがないことは救いだった。「自分たちはなんとかやっているから、日本も頑張れ」というエールを送ってくれている。なかなか頼もしい。
 本というものは、発売の1週間前ぐらいには見本誌ができあがる。著者にはその場で郵送される。
「通常は1週間以内ですが、こんな状態なので」
 と郵便局の窓口で伝えられた。
 世界の郵送事情もコロナ禍である。著者の多くが、まだ本を受けとっていない。

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Posted by 下川裕治 at 16:22│Comments(0)
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