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ナムジャイブログ

2011年04月04日

震災の影響で締め切りが早まる

 海外の街で、コピーをとらなくてはいけないことがときどきある。
 大使館でビザをとるとき、パスポートを預けなくてはいけないことが多い。そのときのために、パスポートのコピーは1枚持つようにしている。しかしビザ申請のために、何枚もコピーが必要になることもある。
 昨年の9月、僕はロシアのアストラハンでオーバーステイ状態になってしまった。オヴィールというビザ登録オフィスで、特別なビザをとらなくてはいけなくなった。こういうときは、何枚もコピーが必要になる。
 アジアでは仕事の資料やゲラなどをコピーすることが多い。アジアのなかで、日本のようにコンビニにコピー機が置いてあるのは台湾ぐらいだ。街にあるコピー屋やホテル、知り合いの事務所でコピーをとらせてもらうことになる。
 受けとったコピーを手に、いつも思うことがある。
 重いのだ。
 10枚ほどのコピーを受けとると、ずっしりとくる。
 自宅には定期的にアジアのフリーペーパーが送られてくる。原稿を書くことが多いからだ。封筒に入ったそれを手にすると、やはりずっしりと重い。
 紙は種類、サイズと重さで表現される。日本のコピー用紙は、A4サイズで1000枚35キロの紙だという。僕の感覚では、タイのコピー用紙はA4サイズで50キロはいっているような気がする。
 紙が重いということは、一般に厚いことを意味している。誰しもコピーや雑誌は軽いほうがいい。しかし紙を薄くしていくと、裏写りを起こしてしまう。裏に印刷された文字が透けて見えてしまい、読みにくくなってしまうのだ。日本の紙は、それだけ優れものということになる。
 たとえば日本の列車の時刻表。タイの紙で印刷すると、とんでもない重さになってしまうはずである。持つのも嫌になる。日本はあれだけ薄くて軽く、裏写りしない紙を開発したのだ。
 やはり日本は技術の国だと思う。
 東北の太平洋岸にあった製紙工場が壊滅的な被害を受けた。ロール状になった大量の紙が海水に浸かり、工場は生産不能なほどの被害を受けた。このニュースを耳にしたとき、一瞬、
「これで締め切りが延びる」
 と思った。紙が不足しているのだから、印刷もままならないはずだ。被害に遭った製紙工場には申し訳ないが、目の前の締め切りに追われる身としたら、ついそんなことを考えてしまうのだ。しかし編集者からこんな言葉が返ってきた。
「いえ、そんなことはありません。紙の確保に手間どるかもしれないので、逆に締め切りは早くなります」
「………」
 3月末の締め切りの本が、まだ半分を残している。今週から缶詰めになる。


Posted by 下川裕治 at 12:00│Comments(0)
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