2013年11月04日
裏国境の旅がはじまった
【2013年11月04日号から、通常のブログはしばらく休載。『裏国境を越えて東南アジア大周遊編』を連載します】
今年の夏。タイとミャンマーの国境4ヵ所が開いたことを知った。それらの国境は、これまで通過できないわけではなかった。しかし、ビザをもっていても、いくつかの入域制限があった。その制約がなくなった。
ミャンマーとバングラデシュの国境は開いていないため、陸路でタイからミャンマーを通り、バングラデシュに抜けることはできない。しかしメーソトから国境を越え、いったんヤンゴンに行き、南部のラノーンでタイに戻るといったルートは可能になった。
東南アジアの地図を開き、ぼんやりと眺めてみる。あの国境はどうだろうか……。調べてみると、外国人も通過できるようになったことがわかる。以前、地元の人しか通過できなかったローカル国境というか、裏国境が次々に開いたことがわかってきた。ここ2、3年のことだった。
東南アジアの情況は安定している。当然、人や物の越境が盛んになる。これまでのメイン国境ではさばけなくなり、次々にサブ国境が開いているようだった。
行ってみようか。
タイのバンコクを出発し、バンコクに戻る旅……。ルートは反時計まわりと決めた。旅の最後はミャンマー陸路入国の旅になる。
※ ※
バンコクからカンボジアに向かう。一般的な国境は、アランヤプラテートからポイペトに抜けるルートだ。しかしこの国境はいつも混んでいる。越境が午後になってしまうと、カンボジア側のイミグレーションで2時間待ちといったことは珍しくない。このボーダーには、越境者からひと儲け組が手ぐすね引いて待ち構えている。カンボジア側は会社ぐるみだからたちが悪い。
のんびりのどかに国境を越えられるポイントはないだろうか……。そこで東北タイのスリンを選んだ。
バンコクのモチット2から夜行バスで向かうことにした。最近はネットで予約し、コンビニで支払うと、切符の引換券を受けとることができるようになった。タイも便利になった……と感心していると、ひとりのタイ人がこんなことをいうのだった。
「スリン? 洪水ですよ」
「はッ?」
「腰のあたりまで水がきているみたい」
「でも、バスは動いてるんでしょ。スリン県も広いから、スリン市内や国境は大丈夫じゃない?」
「日本人はどうしてそんなに楽観的なの?」
大きなお世話である。しかし不安は募る。サンダルや短パンまで用意して夜行バスに乗ったのだった。
タイ人の話は大嘘だった。いや、スリン県のどこかは洪水なのだろうが、市内は大丈夫だった。
早朝のスリンバスターミナルに着いた。すると、目の前に国境行きのロットゥー(乗り合いバン)が停まっていた。国境まで60バーツ、約180円。裏国境の旅は順調にスタートしたかにみえた……。(以下次号)
(写真やルートはこちら)
この旅の写真やルート地図は、以下をクリック。
http://www.asahi.com/and_M/clickdeep_list.html。
「裏国境を越えて東南アジア大周遊」を選んで下さい。こちらは2週間に1度の更新です。
今年の夏。タイとミャンマーの国境4ヵ所が開いたことを知った。それらの国境は、これまで通過できないわけではなかった。しかし、ビザをもっていても、いくつかの入域制限があった。その制約がなくなった。
ミャンマーとバングラデシュの国境は開いていないため、陸路でタイからミャンマーを通り、バングラデシュに抜けることはできない。しかしメーソトから国境を越え、いったんヤンゴンに行き、南部のラノーンでタイに戻るといったルートは可能になった。
東南アジアの地図を開き、ぼんやりと眺めてみる。あの国境はどうだろうか……。調べてみると、外国人も通過できるようになったことがわかる。以前、地元の人しか通過できなかったローカル国境というか、裏国境が次々に開いたことがわかってきた。ここ2、3年のことだった。
東南アジアの情況は安定している。当然、人や物の越境が盛んになる。これまでのメイン国境ではさばけなくなり、次々にサブ国境が開いているようだった。
行ってみようか。
タイのバンコクを出発し、バンコクに戻る旅……。ルートは反時計まわりと決めた。旅の最後はミャンマー陸路入国の旅になる。
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バンコクからカンボジアに向かう。一般的な国境は、アランヤプラテートからポイペトに抜けるルートだ。しかしこの国境はいつも混んでいる。越境が午後になってしまうと、カンボジア側のイミグレーションで2時間待ちといったことは珍しくない。このボーダーには、越境者からひと儲け組が手ぐすね引いて待ち構えている。カンボジア側は会社ぐるみだからたちが悪い。
のんびりのどかに国境を越えられるポイントはないだろうか……。そこで東北タイのスリンを選んだ。
バンコクのモチット2から夜行バスで向かうことにした。最近はネットで予約し、コンビニで支払うと、切符の引換券を受けとることができるようになった。タイも便利になった……と感心していると、ひとりのタイ人がこんなことをいうのだった。
「スリン? 洪水ですよ」
「はッ?」
「腰のあたりまで水がきているみたい」
「でも、バスは動いてるんでしょ。スリン県も広いから、スリン市内や国境は大丈夫じゃない?」
「日本人はどうしてそんなに楽観的なの?」
大きなお世話である。しかし不安は募る。サンダルや短パンまで用意して夜行バスに乗ったのだった。
タイ人の話は大嘘だった。いや、スリン県のどこかは洪水なのだろうが、市内は大丈夫だった。
早朝のスリンバスターミナルに着いた。すると、目の前に国境行きのロットゥー(乗り合いバン)が停まっていた。国境まで60バーツ、約180円。裏国境の旅は順調にスタートしたかにみえた……。(以下次号)
(写真やルートはこちら)
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Posted by 下川裕治 at 13:18│Comments(0)
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