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ナムジャイブログ

2013年12月16日

フォーはフランス料理?

【2013年11月04日号から、通常のブログはしばらく休載。『裏国境を越えて東南アジア大周遊編』を連載します】
【前号まで】
 裏国境を越えてアジアを大周遊。スタートはバンコク。タイのスリンからカンボジアに入国し、メコン川を下ってチャドックでベトナムに入国。ホーチミンシティに2泊した。
     ※       ※
 ホーチミンシティでベトナム人と昼食をとった。入口で食べたい料理を指さす大衆店である。食べ終わると、ガラスの容器に入った食べ物が出てきた。
「これは?」
「ヨーグルトですよ。この店のサービス」
 ホーチミンの人たちは、ごく普通にヨーグルトを食べていた。アジア人はヨーグルトが苦手だと思っていた。以前、バンコクに住んでいたとき、訪ねてきたタイ人にヨーグルトを出したことがあった。彼はそれをひと口食べるとこういった。
「腐ってる」
 いくら説明しても、けっしてスプーンを手にはしなかった。あの酸味は、牛乳が腐ったものという範疇だったのだ。
 しかしホーチミンシティの人たちは平気で食べる。好物だった。
 その背後にあるもの。
 フランスだった。
 長いフランス植民地時代に刷り込まれた味だった。
「ヨーグルト? そういえば『フォー24』のセットメニューにもあったな」
『フォー24』は24時間営業のフォーのチェーン店である。翌日、入ってみた。フォーに生春巻きがついたセットにデザートとしてヨーグルトがついていた。
 ひとりのベトナム人がこんな話をしてくれた。
「フォーはベトナム料理だと思っているかもしれないけど、フランスの味でもあるんですよ。たしかに麺はベトナム。でも、牛からスープをとって、牛肉を載せる食文化はフランスですよ」
 たしかにアジアの女性は30歳をすぎると牛肉を食べない人が多い。体によくないのだという。しかしフォーボー、つまり牛肉のフォーはベトナム料理を代表する料理だ。
「だって、フォー屋には、ビーフシチューもあるでしょ」
「ビーフシチュー?」
 フォーの店に、そんなものがあるとは思わなかった。しかし道端のフォー屋に訊くと、あたりまえのように出してくれた。ボーコーという。一緒にバケットも出てきた。ボーコーにはフランスパンというわけだ。
 食べてみた。ビーフシチューだった。ネギを散らしてあるところが、ベトナムっぽいのだが、それ以外はまったくのフランス。
 後日、貝料理屋に入った。そこにはムール貝もどきの貝があり、頼むと蒸し焼きにして出してくれた。ここでもバケットがついてくるのだ。
 それを食べながら、意識はベルギーのブリュッセルに飛んでいた。小便小僧で有名な界隈には、ムール貝を食べに多くのフランス人がやってくる。ムール貝の蒸し焼きにバケット。そのとり合わせに、ホーチミンシティで出合うとは。違いはワインだけだった。
             (以下次号)

(写真やルートはこちら)
この旅の写真や動画は、以下をクリック。
http://www.asahi.com/and_M/clickdeep_list.html
「裏国境を越えて東南アジア大周遊」を。こちらは2週間に1度の更新です。



Posted by 下川裕治 at 12:11│Comments(0)
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