インバウンドでタイ人を集客! 事例多数で万全の用意 [PR]
ナムジャイブログ

2009年08月17日

衣食足りて安全を知る

 旧盆で信州の松本にある実家に帰った。ひとりで暮らす母親と墓参りが長男の務めでもある。実家の隣に、首都圏から移り住んだ30代の夫婦が住んでいる。さまざまな有機農法を実践している新しい農家だ。
 信州も農家の高齢化に直面している。農地はあるが作り手がいない。そんな農地を借り、新しい農業に挑むひとりだ。
 有機農法の原理は簡単だ。農薬を減らせばいい。しかしそれに反比例して、労働力が増えていく。農薬を使う農業は、機械化と並んで、農業の効率化をもたらした両輪だった。
 彼は数年前からアイガモ農法もとり入れている。水田にアイガモを放し、雑草を食べてもらう。除草剤を撒かずにすむのだ。しかしアイガモの世話が必要になる。毎朝、餌をあげなくてはならない。アイガモが猫などに食べられないようフェンスを張り巡らさなければならない。大変な農法なのだ。
「いや、そこにポイントをおいてはいけないんです。アイガモ農法は米の収穫量が20%増えるんですよ」
 最近の日本では、中国産食品の売り上げが好調だと聞く。一時、あれだけ騒いでいたのに、景気が悪化すると安さに走ってしまう。安全な食品は、どこか、「衣食足りて……」のようなところがある。
 だから、アイガモ農法が収穫量を増やす話は気になった。やはり、有機農法の理想は、農薬を使う農法より安く農作物をつくることができることだ。「食の安全や健康指向」に支えられているかぎり、その足場は脆弱だ。
 だが、穂が出た稲を見ながら思う。農薬を使うより労働力がかからない有機農法……。それはある理論矛盾を抱えているのではないかと。


Posted by 下川裕治 at 14:30│Comments(0)
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。