2009年09月09日
色褪せていくこと
一周忌のために狭山丘陵に向かった。
昨年の9月、知人が死んだ。
鬱だった。
彼の葬式の挨拶で、僕は泣いてしまった。はじめての経験だった。
「助けてあげることができなくてごめん」
オフィスで彼は僕の隣に座っていた。彼はさまざまなサインを発していた。
たとえば酒を飲まなくなる。どんどんやせていくこともあった。鬱の波に襲われている時期だった。しかし仕事相手は、そんなことを知らない。原稿を書くことができなくなった彼に代わって何回もパソコンに向かった。
しかし自ら命を絶ってしまったいま、彼の人生は風化していくばかりだ。彼がいなくても社会や仕事は普通にまわっていく。奥さんは一緒に住んでいた家から新居に移った。
「1年ってあっという間だよな」
それしか僕ら友達には話すことがない。
人間は皆、死んでしまえばちっぽけなものだと思う。あっという間に忘れられていく。
僕は50代の半ばになった。亡くなっていく知人が多い。
鬱、ガン……。
自分のなかで死というものが色褪せてきている。
秋晴れの気持ちのいい日曜日だった。
昨年の9月、知人が死んだ。
鬱だった。
彼の葬式の挨拶で、僕は泣いてしまった。はじめての経験だった。
「助けてあげることができなくてごめん」
オフィスで彼は僕の隣に座っていた。彼はさまざまなサインを発していた。
たとえば酒を飲まなくなる。どんどんやせていくこともあった。鬱の波に襲われている時期だった。しかし仕事相手は、そんなことを知らない。原稿を書くことができなくなった彼に代わって何回もパソコンに向かった。
しかし自ら命を絶ってしまったいま、彼の人生は風化していくばかりだ。彼がいなくても社会や仕事は普通にまわっていく。奥さんは一緒に住んでいた家から新居に移った。
「1年ってあっという間だよな」
それしか僕ら友達には話すことがない。
人間は皆、死んでしまえばちっぽけなものだと思う。あっという間に忘れられていく。
僕は50代の半ばになった。亡くなっていく知人が多い。
鬱、ガン……。
自分のなかで死というものが色褪せてきている。
秋晴れの気持ちのいい日曜日だった。
Posted by 下川裕治 at 18:16│Comments(0)
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