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ナムジャイブログ

2014年09月15日

食い詰め日本人も帰国できるLCC効果

 フィリピンのマニラから昨日、帰国した。マニラの街では、そこかしこでビルや道路の建設工事がはじまっていた。最近になって経済成長の足どりもたしかなものになってきたらしい。フィリピンも経済至上主義の動きに巻き込まれつつあるということだろうか。
 フィリピンの経済成長が思うように進まなかった一因は、人々の意識のなかにあるシェア文化だともいわれる。キリスト教の影響もあるのだろうが、利益をシェアしてしまうことで、大きな資本が生まれにくい。経済成長というものは弱肉強食社会に裏打ちされる一面をもっている。
 路地を歩いていていると、一軒の家から、突然、声をかけられたという話を聞いたことがある。
「一緒にご飯を食べませんか」
 ちょうど昼どきだった。フィリピン人はひとりでご飯を食べることが寂しくてしかたないのだという。見知らぬ人でも一緒なら楽しいのだ。
 娘が通っていた日本の保育園で遠足があった。フィリピン人の母親をもつ子供が、数十個のおにぎりをもってきたことがあった。
「みんなで食べてって、お母さんから」
 子供が伝えた言葉に、保母さんが困惑したこともあった。食べ物をシェアする発想だった。
 フィリピンは優しい社会だと思う。そこにつけ込むというわけではないだろうが、食い詰めてしまった日本人が多いのも、フィリピン社会の一面である。金がなくなってしまった日本人を、けっして豊かではないフィリピン人たちが支えてくれる話は、しばしば紹介されている。
 こんな話を聞いた。ある金のない日本人がいた。町の人がわずかな金を渡したり、飯を食わせてあげたりしていたのだが、やはり日本に帰ったほうがいいだろう、という話になった。当然、オーバーステイ状態だから、まず出入国管理局に出頭しなくてはならない。そのときに必要になってくるのは日本に帰る航空券だった。しかし日本人はもちろん、周囲のフィリピン人にもそんな金はない。
 そこで登場したのがLCCだった。マニラから日本にはセブパシフィック航空というLCCが就航していた。LCCとはいってもそれなりの運賃になる。しかしときどき、キャンペーンを企画し、頑張れば片道1000円ほどの航空券を手にすることができる。この額なら、周囲のフィリピン人にもなんとかなる。
 フィリピン人たちはキャンペーンを待ち続け、頑張って安い航空券をゲット。それを日本人に渡して、出入国管理局に出頭させたという。話をしてくれた日本人はこういった。
「これもLCC効果っていうんでしょうか」
 これもたしかなLCC効果だと思う。



Posted by 下川裕治 at 13:24│Comments(0)
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