インバウンドでタイ人を集客! 事例多数で万全の用意 [PR]
ナムジャイブログ

2015年05月04日

仏像さんのつぶやき

 追いつめられている。
 日本はゴールデンウイークである。ニュースでは必ず行楽地が映し出される。しかし僕は原稿とゲラの格闘が続いている。ゴールデンウイーク明けまでに、400字詰めで約100枚の原稿と本1冊分のゲラのチェックを渡さなくてはならない。
 今年に入って、たて続けに本が刊行されている。『週末香港・マカオでちょっとエキゾチック』、『「裏国境」突破 東南アジア一周大作戦』。自著ではないが、編集を担当した『本社はわかってくれない 東南アジア駐在員はつらいよ』。これから7月にかけ、『僕はこんな旅しかできない』、『一両車両のゆるり旅』、そしてタイトルはまだ決まっていないが、ソウルに関する本が1冊出る。いま、『一両車両のゆるり旅』のゲラを読み、ソウルの本を書き進めている。半年で6冊というのは、やはりきつい。
 あと5日しかない。締め切りに間に合うのかどうかわからない。5月のさわやかな天気のなか、30分だけ布団にもぐり、3時間原稿を書くようなことを続けている。このブログを書いている時間などない状態なのだが。
 目覚しの音で起きると、スマホに、「仏像さんのつぶやき」と打ち込む。すると今日の仏像の写真が出てきて、その下に、短い言葉が添えられている。5月3日の今日は、「うぬぼれとは、ちっぽけな人間がもらった神の贈り物」と書かれていた。昨日は、「ヘビのように死なない」という文章だった。
 ときどき、なにをいっているのかわからないこともあるが、仏像の顔をみながら考えていると、なんとなくわかったような気になってくる。
 その時間がありがたい。原稿を急がなくては……という焦りのなかで、平常心を導いてくれるようなところがある。
 実はこのサイト、製作にかかわっている。僕が撮った写真や見つけた言葉も載っているのだ。しかしこのサイトを製作しているときには、自分で世話になるとは思ってもみなかった。
「電車のなかでじっと仏像を眺めている人がいたら、かなり病んでますね」
 などとうそぶいていた。それが5ヵ月前の話だ。その頃は、ずいぶん心に余裕があったということだろうか。
 こういうサイトを見ずに、仕事をはじめることができたら、どんなにいいだろうとは思う。しかしいま、「仏像さんのささやき」にずいぶん支えられている。
 自分でつくったサイトに自分で救われる。
 かなり病んでいるということだろうか。


Posted by 下川裕治 at 11:59│Comments(1)
この記事へのコメント
わたしも連休に仕事をしています。そして夜になり風呂に浸かりながら「アジアの誘惑」(下川裕治著)のページをめくって、旅に思いを馳せていました。この本は何度読んだことでしょう。

下川さんの文庫本はズラリと本棚に並んでいます。僕にとっては下川さんの本が「仏像さんのつぶやき」です。

新刊を期待しつつ・・・
Posted by TNK at 2015年05月05日 22:37
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。