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ナムジャイブログ

2015年07月27日

衰退する日本を封印する若者

 アジアに出向くことが多いから、現地にいるライターと会うことは多い。現地に住む人しかわからない情報を日本に送り、その原稿料を生活費の足しにしている人もいる。
 あるバンコク在住のライターがこんな話をしてくれた。
 彼は先日、こんな記事を送った。
──バンコクに次々に誕生する日本料理店。経営者は日本人でも、日本人のための店をつくっても成功しない。タイ人が多くやってくる店でないとダメ。バンコクでは日本人客への期待は相対的に下がっている。
 彼には悪いが、バンコクの様子がわかっている人なら、誰でも知っていることだ。しかしこの原稿が採用されなかった。
「日本人とか日本の衰退のような話は、なるべく紹介しない方針だっていうんです。記事のアクセスが悪くなるとかで」
「どういう人たちが読むサイトなんです?」
「主に若者かな」
 台北で日本の媒体向け広告を担当する知人がこんなことをいった。
「高級フカヒレ店で、日本人客はもう歓迎されないんです。日本人はすぐシェアできないかっていうと。それに比べ、アジアの人はどーんとひとり一人前……。日本向けに広告を出しても費用対効果が悪いと」
 この話は以前、僕もこのブログで書いた。別のライターが、この話を若者向けサイトに書いたところ、抗議がかなりあったという。僕も穏やかなものだったが、40代の知人からこんな苦言が届いた。
「いいじゃないですか。日本人は堅実で」
 しかし若者の反発はもっと強いらしい。
 現実を知るとこ──。その重要さを教え込まれて育ってきた。だからアジアのなかで日本人の存在感が薄れてきていることを書く。しかし日本人の多くは、そんな記事から目をそむけようとする。その傾向は、若者のほうが強いらしい。
「もう日本は終わりですよ」
 こんな状況を肌で感じるあるジャーナリストは投げ捨てるようにいった。現実に目を向けず、優秀で美しい日本人話ばかりを求めようとする。
 それは日本人だけではない傾向にも思う。欠点に目を向けることは、自分や自国の状況に自信があるからだ。日本人は日本の力が落ちてきていることに気づいている。だから衰退していく日本話に耳を閉じる。その上にいまの日本の政権運営もある。しかしそこからしかなにも生まれないのだが。
 貧すれば鈍する……そういうことなのだろう。こう書くと、また多くの日本人が不愉快な思いをする。しかし目の前には現実が横たわっている。その差をどう埋めるというのだろうか。



Posted by 下川裕治 at 13:46│Comments(2)
この記事へのコメント
恥ずかしながら僕も節約旅行者のひとりです。
学生時代に個人的な飢饉があったせいか
お金、特に食べ物を大切にする習慣が身にしみています。

中国人のように料理は残すのがマナーな国の方が景気も良くなるのかも知れません。
日本人は歴史的にも大飢饉を経験し遺伝子に節約など勿体無いという思考が刻みこまれているのでしょうか?

唯一バブルで浮かれていた頃日本人、その世代ならあるいは中国人のようなお金の使い方ができるかも知れません。

本当はそういう人が多ければ世の中は景気が良くなると思います。
Posted by たぬきまるだいすけ at 2015年07月28日 04:00
楽しく読ませていただいてます。昔、NetもLCCもなかった時代と違っていい加減なことを発信しても化けの皮がはがれやすい世の中になったから、あまり気にする必要もないかと(^^ゞ

80年代とか、いい加減で一面的な記事を書いた本が平気で出回ってましたから。
実際に、体験するのが困難な状態だったからそれも仕方なかったですよね。
Posted by Shu at 2015年08月01日 07:30
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