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ナムジャイブログ

2015年11月16日

頭抜けた生徒たち

 信州の松本で高校の同級生と話をした。彼は互いの母校である高校に勤めていた。
 僕らが通っていたのは、進学校である。1学年の生徒数は320人ほどだ。
 松本という地方都市だから、東京の進学校ほどのレベルではない。しかし毎年、学年に2~3人、とんでもない能力をもった生徒がいるのだという。
 彼が在職中にいた生徒のひとりは、教科書の内容、教師が黒板に書いたことがらをすべて完璧に覚えてしまう生徒だった。
 教師たちはサヴァン症候群を疑った。知的な障害やある種の発達障害のある子供なかに、並はずれた記憶力をもつ人たちである。
『レインマン』という映画で、その存在は知られるようになった。ダイスティ・ホフマンが演じていた。しかしその生徒は、それ以外の学力や日常生活はいたって普通なのだという。自閉症でもなかった。
 高校1年のクラスで、英語の授業中に、数学の問題を解いている女子生徒がいた。先生が注意する意味を含めて、そのときに読んでいた英文について訊くと、すべて頭に入っていた。
 女生徒から訊くと、中学時代の英語をやっているうちに、英語が全部、わかるようになってしまったのだという。英語というものは、あるレベルを超えてしまうと、それ以上は学ばなくてもいいらしい。その生徒は人並みはずれの語学能力をもっていたのだ。試験はすべて100点だった。
 数学でも、すごい生徒がいた。教師よりわかっているのではないか……という答案を書くのだという。その教師は、採点する前に、その答案を見て参考にしていたという。
 たしかに人間には優れた能力をもった人がいる。しかしその割合は、信州の300人ほどの学校で2~3人もいるのだろうか。
 もしそうだとしたら、僕の周りにもそんな人がいることになる。
 そんな話を別の知人にすると、彼はこういうのだった。
「隠して生きているんだと思いますよ」
 人並みを超えた能力というものは、ときに生きていく上で足かせになる。学校でほかの生徒と一緒に勉強していくということは、そういう自分を知ることでもある。そうしなければ、一般人として生きていくことができないのだ。
 多くの生徒は、なんとか成績をあげようと勉強する。しかし少数だが、頭抜けた能力をもった生徒は、それを隠して生きていく処世術を学ぶ場が学校らしい。教育とはそういうもののようだ。
 そのシステムをつくった人間。それもまたすごい能力なのだろう。


Posted by 下川裕治 at 12:04│Comments(3)
この記事へのコメント
とびぬけた学力、知力を持った人たち!
すなわち天才。
なんかずるいって確かに思っちゃいますね。

僕も受験で必死に勉強をし良い高校にはいったものの、遊びまくって大学は3流。。。

天才・・・東大に行く人たちはそういう人たちなのでしょうか。

でも人類のさらなる進化に必要な逸材でしょうね。

世の中はそういう人たちに任せて

僕は自分の欲求を満たす旅に行きまくるのです。その方が愉快です。
Posted by たぬきまるだいすけ at 2015年11月20日 00:22
下川さま
週末ソウルでちょっとほっくり
楽しく一気読みさせていただきました。
食に関するリポートが多いため大変参考にもなり。夜中にチャジャンミョンが食べたくて仕方が無くなりましたが(*_*)
数々の韓国本を読んで来ましたが、ここ2.3は情報も少なく退屈しておりましたところです。
下川さま、インドに行かれる企画があるときは是非にご相談くださいませ。ムンバイとデリーに5年間住んでおりました。
L.
Posted by らたーた at 2015年11月22日 04:20
ずば抜けた才能を持っている人は、それを隠す能力も兼ね備えているのですね。
当の本人は目立ちすぎて妬まれたり大変なこともあるのでしょうが、何一つ際立った能力を持たない私には羨ましい限りです。
Posted by たぬきまるようこ at 2015年11月23日 18:27
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