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ナムジャイブログ

2016年08月15日

オリンピックは疲れる

 疲れてきてしまった。リオデジャネイロのオリンピック中継である。とりわけ熱心に観ているわけではないが、テレビをつけると、メダルをとった日本人の映像が、次々に映しだされる。いささか食傷気味である。
 北京とロンドンのオリンピックの記憶はほとんどない。おそらく日本にいなかった気がする。日本にいると、連日、加熱するオリンピック報道なのだ。
 疲れる理由もわかっている。メダルを目指した日本人の努力は並大抵ではない。ひとりで番組がいくつもできそうな密度がある。それが機関銃のように毎日、繰り返される。そのエネルギー総量が多すぎる。いつもはだらだらとテレビを観ている。その映像が、突然、弾けんばかりのパワーで迫ってくる。僕が受け入れられるエネルギーの臨界点を越えてしまっている。いや、僕が年をとったということなのか……。
「元気をもらいました」。これが街角で答える日本人の常套句である。メダルをとった日本人選手への賛美でもある。実際は、ぐちゅぐちゅとわけのわからない感想を口にする人もいるのだが、テレビ局は、限られた時間のなかでの放映だから、どうしても、「元気をもらいました」を採用してしまう。昔、新聞記者をしていたから、その感覚はよくわかる。答える日本人も、「元気をもらう」と口にすると、テレビに映りやすいことを知っている。
 東北の震災以降の傾向のように思う。津波や原発被害に遭った人々を励ますイベントが行われ、それに参加した被災者の人たちが、感謝の意味を込めて、よく、「元気をもらいました」と口にした。
 震災から1年ほどが経った頃だろうか。ある心理学者が口にした言葉が記憶に残っている。
「そんなにたくさん元気をもらったら、人は皆、鬱になっちゃいますよ」
 その感覚がわかる気がした。
 僕の周りには鬱に悩んでいる人が多い。鬱の定義は難しいが、生きるエネルギー総量が減ってきてしまった人たちだ。頑張ることができないから、「頑張れ」は禁句だといわれてもいる。
 医師に鬱と診断され、投薬を受けている知人が10人以上はいる。つきあいは続いているが、その会話はどうしてもひっそりとしてしまう。
 昨日も、抗鬱剤を飲んでいる知人と昼食をとった。一軒のそば屋だった。隅にあるテレビでは、金メダルをとった日本人が繰り返し登場する。
 目の前の知人は、抗鬱剤を変えようか、医師を代えようかと悩んでいる。この話は1年ほど前から続いている。
 興奮したレポーターの声が、僕らのテーブルにも流れてくる。
 ふたつの世界の格差が埋まらない。

■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=シンガポールからマレーシアの旅がはじまります。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。ようやくタイの鉄道を完乗? マレーシアの鉄道の旅がスタート。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記


Posted by 下川裕治 at 11:39│Comments(2)
この記事へのコメント
選手の顔を観ているだけで涙目になってしまいます。オリンピックだけでなく、高校野球も同じです。
子供の参観日や運動会でも思わず目頭が熱くなってしまいます。
これらに共通していることは、ひたむきで無欲。
そんな姿に心を打たれるのだと思います。
だからと言って、子供が言うことを聞かなければイライラするし、現実の問題に心を悩ませる事に変わりありません。
勇気や元気は、自分の中から生まれなければやる気もでません。

感動を貰った。
わたしはそう思います。
「感動」
その中には、喜怒哀楽が含まれていますから。
Posted by アプサラス at 2016年08月15日 12:03
オリンピック日本の大躍進ですね!
ってちゃんと見ていないのですけれど(笑)

競技そのものよりもこんな名前の国があったとか
国旗はこんなだとか・・・
何故かそっちに興味が有るのです。

あと美人選手ですね。
Posted by たぬきまるだいすけ at 2016年08月27日 02:41
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