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ナムジャイブログ

2016年11月07日

インドだな……

 インドのディプラガルという街にいる。インドの領土はバングラデシュ、ミャンマーの北側に入り込んでいる。ディプラガルはそこにある。インドの東端に近い。
 久しぶりのインドである。かつてはビザが面倒だったが、最近は大きな空港で到着ビザがとれるようになった。バンコクからインディゴというインドのLCCでコルカタに着き、ビザカウンターに向かった。ビザを申請しようとすると、ビザ代の2000ルピー、約3400円は外貨でなく、インドルピーでの支払いだという。向かいにある銀行窓口に行ったが、そこで、ビザがないと両替できない、といわれた。
「インドだな……」
 つい呟いてしまった。なにも変わっていなかった。
 ここから交渉がはじまる。到着ビザオフィスと、銀行の矛盾を埋めなくてはならない。それぞれが職務をまっとうしようとしている。しかし2000ルピーがなければ、ビザがとれない。結局、暫定的に両替をしてくれ、銀行職員がビザオフィスに同行することになった。
 それから2時間──。
 ビザオフィスの前で、銀行の職員と一緒に待ち続けた。いったいどんなチェックをしているのかわからないが、なかなか進まない。やっとビザのスタンプが捺され、それを手にしながらビザオフィスの職員はこういった。
「とにかく到着ビザは長い、長いプロセスが必要なんです。ログインして、チェックし、その後ログアウトして、またログインして……これを繰り返さなくてはならないんです」
「おう、そうか、そうか」
 と頷いてやるしかない。しかしインド人はなぜか憎めない。隣にいる銀行職員の表情が柔らかくなる。ビザがない外国人の両替には応じてはいけないというルールを、彼の判断で破ったわけだから、もし、僕がビザをとれなかったら大変なことになるのだろう。
 久しぶりにサダルストリートに行ってみようかと思ったが、到着ビザに手間どってしまった。空港近くのホテルに泊まり、翌日の飛行機でデヒプラガルまできた。
 この街にきたのは、インドでいちばん長い列車に乗るためである。ここからインドの南端まで、5日をかけて走る列車が週に1便だけある。
 しかし列車のチケットはまだとれていなかった。話せば長いことになるが、日本から予約は入れてあるものの、まだウエイティング状態なのだ。空港から駅に向かう。予約証明書を差し出す。
「ウエイティングからラックになった。明日来なさい」
「ラックって?」
「ウエイティングの上」
 そんなものがあるのか。でも切符がとれたわけではない。
「インドだな……」
 また呟くしかなかった。

■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=台湾のディープ旅を連載中。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。難関のミャンマーの列車旅がはじまる。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記


Posted by 下川裕治 at 11:48│Comments(1)
この記事へのコメント
「ビザを申請しようとすると、ビザ代の2000ルピー、約3400円は外貨でなく、インドルピーでの支払いだという。向かいにある銀行窓口に行ったが、そこで、ビザがないと両替できない、といわれた」

4か月前にコルカタに行きましたが、全く同じでした。ただ、係のひとは意地悪でやってるわけではない感じがしたのでそんなに嫌な気分にはなりませんでした。
係の人は3人であーだ、こーだ言いながらパソコンになにやら打ち込んだり、書類には子供のころ以来に見た、黒いカーボン紙を使って複写したりと、あまりにも長いので途中トイレにも行かせてもらいました。
最後にようやく終了すると手を振って見送ってもらいました。憎めないですね。
Posted by ダンキチ男 at 2016年11月07日 23:01
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