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ナムジャイブログ

2017年01月23日

開けにくい袋と自己満足

 袋が開かない。イライラする。
 海外にいることを知らされる。
 たとえば安めのホテルに泊まる。浴室でシャワーを浴びようとする。そこには使い切りの小袋に入ったシャンプーが置かれていることが多い。裸になり、湯を浴びる。そして、シャンプーの小袋を開けようとする。
 開かない。
 開ける場所は書かれていない。ぎざぎざになった端から開けようとするのだが、なかなかうまくいかない。手が濡れているからだろう、とタオルで拭いて、再度開けようとするのだが……。
 裸になっている。服を着なおし、なにか袋を開けるものを探す気にはなれない。困りはて、自分の歯を思いだす。
 歯でかみ切ろう。しかし、急に袋が開いて、口のなかにシャンプーが入ってしまったらどうしようか……などと考えてみる。
 シャンプーに限らず、海外で売られているものの袋が開けにくい。開ける場所が示されていても開かないこともある。力任せに開けて、なかの菓子が飛びだしてしまったこともある。
 以前はハサミやナイフをもっていた。それで開ければよかった。しかし最近はセキュリティチェックが厳しく、機内にもち込むことが難しい。
 これなら大丈夫だろう……と、日本の100円ショップで、長さが5センチほどのハサミを買った。しかし先日、クアラルンプールの空港で引っかかってしまった。没収である。
 荷物を預ければいいのだが、LCCに乗ることが多いから、つい機内にもち込もうとしてしまう。
 かくしてホテルの部屋で、開かない袋と格闘することになってしまう。
 そこへいくと、日本で売られている商品はみごとだと思う。開けることまで配慮がゆき届いている。コンビニで買う弁当のなかに入っている、小さな醤油の袋まで。
「すごいことでしょ」
 昨年の暮れ、マレーシアからやってきた知人に話した。クアラルンプールのホテルで、シャンプーの小袋に苦労したからだ。
「そうなんですか。日本にきて1週間、いろいろ体験したけどまったく気づかなかった」
 日本のモノづくりの技術は高く評価されている。それはたしかだろう。しかし袋の開けやすさといった話になると、反応しない外国人もいる。だから海外の袋は開けにくいのかもしれないが、それを気にしなければたいした問題ではない。そんな彼らに向かって、日本はすごいでしょ、というのは自己満足にすぎない。ましてや、それを海外の後進性と結びつけるのは傲慢なことかもしれない。
 しかし、海外の袋はあけにくい。こうして日本人は、海外でいつもイライラしている。

■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=インドでいちばん長い列車の旅がはじまります。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
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Posted by 下川裕治 at 12:39│Comments(0)
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