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ナムジャイブログ

2017年05月22日

ずっとミャンマーの列車に乗っている

 東京はいま、気持ちのいい天気が続いているらしい。妻からのメールにそう書かれていた。しかしここは連日、40度近い強い日射しに晒されている。雨季に入ったというのに、地面を叩く雨粒はまだ弱い。本格的な雨季に入れば、それはそれで大変なのだが、あまりに強い太陽の光を眺めると、雨が恋しくなってしまう。
 相変わらず、ミャンマーにいる。約2週間、ミャンマーの北部と中部の列車に乗り続けいったんバンコクに。用事をこなし、途中には台北へ。再びバンコクに戻り、ミャンマーにやってきてもう4日。相変わらず、毎日、列車に乗り続けている。
 ミャンマーの列車に全部乗る……という旅はなかなか思うようにいかない。
 今日もひとつの路線に乗った。終点からバイクタクシーに乗って、別の路線の駅に向かい、そこから次の列車に乗るつもりだった。今日はなんとか、2路線は乗ろう……と意気込んで向かったのだが、最初に乗った列車が1時間近く遅れてしまった。もう乗り継げない。しかし、先の路線も遅れているかもしれないという、淡い期待を胸に、「急いで」とバイクタクシーに伝えると、運転手は田の畦道を走る近道を走ってくれたのだが、列車はすでに出発してしまっていた。
 強い日射しに晒される小さな駅のベンチに座り込む。湯のようになってしまった水をぐびぐびと飲む。
 いったいなにをしているのだろう。
 晴れ渡った空を見あげる。
 都合3週間近く、僕は列車にしか乗っていない。頭のなかは、常に想定問答が繰り返される。次の列車が運休になっていたらどうしようか。バスでつなぐことができるのだろうか。いや、バイクか。土地勘もなく、ミャンマー語は話すことも、書くこともできないから、想像力で補っていくしかない。
 世間の人はもっと充実した3週間を送っているのではないか。しっかり仕事をこなしているのではないか。
 しかし僕は、ミャンマーのとんでもなく遅い列車に、毎日、揺られているだけなのだ。
 ひとりである。よくやったじゃないですか……と褒めてくれる人もいない。
 駅のベンチから立ちあがり、ヤンゴンまでバスで戻った。ひとつの路線でも多く乗り潰していこうと、ヤンゴン駅を出発する大学行き路線に乗ろうとした。
「今日はもう列車がありあせん」
「2週間前に確認したとき、午後5時台まであったはず……」
「先週から途中駅で折り返すことにしたんです。最終は午後1時半です」
 どうしてミャンマーの列車はこうよく変わるのか。動いているときに乗っておかないと運休してしまう。
 ミャンマー国鉄から抜け出せずにいる。

■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=タイからラオスへの旅。そして、世界の長距離列車旅を連載中。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。難関のミャンマーの列車旅が続く。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記


Posted by 下川裕治 at 11:41│Comments(2)
この記事へのコメント
下川様
おつかれさまです。
ミャンマーの汽車旅、大変ですよね。
私もミャンマーに行った時 ヤンゴンからバガンまで寝台列車のチケットを前日に買いました。
当日 乗ったら車掌から「今日は寝台は連結しないから」と言われボックスシートにえんえんと揺られて行ったものです。
アジアはほんとにいい加減というか、オイオイというのが多いですよ。
しかし下川さんの3週間は無駄な時間ではありませんよ。ゴルフとビールで毎日をダラダラ過ごしているリタイアじじいたちよりはるかに立派です。この旅行の本が発行されたら迷わず買います。
熱中症にご注意されてください。

チェンマイ在住のじじいのかじちゃん
Posted by かじちゃん at 2017年05月22日 23:06
なんとも、、、柔軟と言うか適当ですね。

ダイヤとかそういうモノがそもそも機能していなく責任者のさじ加減で運行状況が決まる。独裁鉄道そんな雰囲気ですね。
Posted by たぬきまるだいすけ at 2017年07月18日 18:13
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