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ナムジャイブログ

2017年07月17日

頑固な旅人になる

『シニアひとり旅バックパッカーのすすめ』(平凡社新書)が発売になった。その前に日本を離れてしまったので、僕自身、まだ本は見ていない。
 僕は63歳になったから十分にシニアだ。この年齢になり、続けるアジア旅のなかから、シニアの旅のエッセンスを書き込んだつもりでいる。
 発刊前、タイトルを考えた。対象はシニアだが、出版界には、「シニア向けの本にシニアというタイトルをつけても売れない」という不文律のようなものがある。ダイエット本に、「肥満」とか「デブ」といった言葉を使わないことと同じ論理だ。太っている人は、書店で手にとれないからだ。
 シニアといわれる人は、まだまだ若いと思っていて、シニアといわれるのを嫌う傾向があるのだろう。
 そこで僕が考えたのは、「妻を棄てて旅に出よう」だった。寺山修司の『書を捨てよ、町にでよう』のもじりだった。言下に編集者から却下されたが。紆余曲折を経て、タイトルにシニアを入れることになった。シニアの人口が増え、そういわれても気にしない人が増えたという判断もある。書店よりネットで購入する人も多いという要素も加味されたのだろうか。
 時間に余裕ができ、男性のシニアは旅を考える。そこでガイドという流れになるが、僕はその発想を変えたほうがいいと思う。ガイドブックの大半はシニアを対象につくられていないからだ。さらに、日本のガイドブックは、女性向けに編集されている。男はガイドブックを読まないということではなく、旅の主導権は女性にあるからだ。その流れができた後で、ネット系のガイドが登場する。その手法も女性向けに染まっている。旅のブログのスタイルもその影響を受けている。
 しかし男性シニアには、人生を生きてきた自負がある。尊厳といってもいいだろうか。その思いに、流布している旅情報はそぐわない気がする。もちろん女性のシニアも人生を生きてきた。しかし女性には、旅情報を咀嚼する柔軟性があるように思う。そこへいくと多くの男性シニアはだめなのだ。つまり頑固なのだと思う。
 頑固を自認するしかない。自分の好みを抑えて、旅情報に迎合したところで、疎外感を味わうだけだ。ガイドブックに載っている有名店で、所在なげに座る男性シニアの姿を何回も見てきた。
 自分の旅をつくるしかないと思う。そのぐらいのエネルギーはあるはずだ。旅を自分たちのものにしなくてはいけないと思う。
 その助けになれば……と書き込んできたつもりだが、はたしてうまくいっているかどうか……。

■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=世界の長距離列車の旅。シベリア鉄道を連載中。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。難関のミャンマーの列車旅が続く。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記


Posted by 下川裕治 at 11:21│Comments(1)
この記事へのコメント
下川さん、初めて書き込みをさせていただきます。下川さんのご著書は、今まで、だいたい購入し、楽しく読ませていただいています。今回もまだ買っていませんが、とても楽しみです。新作を心待ちにしていました。因みに私は54歳男性です。
Posted by R2D2 at 2017年07月30日 01:13
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