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ナムジャイブログ

2017年12月19日

アンコールワット37ドルの裏舞台

 今、ベトナムとカンボジアの本を書いている。アンコールワットの話を書いているとき、ふっとテレビのニュースを観ると北朝鮮が映っていた。金正日の命日だった。
 ちょうどアンコールワットと北朝鮮の話を書いているところだった。
 今年、アンコールワットの遺跡群の入場料が大幅に値あげされた。1日券は20ドルから37ドルになった。
 この値あげと関係があるのだろうか…。アンコールワット周辺には、最近、きな臭い話が多い。発端は新しいシェムリアップ空港の建設が決まったことだろう。シェムリアップから50キロほどのところに建設が決まったが、工事は当然、中国の会社は請け負うことになる。中国とカンボジアの蜜月ぶりはよく知られている。
 この情報が事前に伝わっていたのかどうかはわからないが、アンコールワットの入場券売り場が移転した。以前は、シェムリアップ市街からアンコールワットに向かう道の脇にあった。が、新しい場所は、新空港から市内に入ってくる道に沿っているのだという。
 そして新しい入場券売り場の前には、博物館ができあがった。これは北朝鮮がつくったもので、内部にはアンコールワット時代を描いた壁画のほかに、金日成も紹介されているという。
 北朝鮮からカンボジアに寄贈する形をとっているが、向こう10年の運営権は北朝鮮にある。博物館収入が、外貨となって北朝鮮に入っていく流れだ。
 核開発やミサイルの発射で、北朝鮮は厳しい経済制裁を受けている。外貨収入の道が残されているのは、アジアではカンボジアぐらいかもしれない。
 さらに強い経済制裁を主張するアメリカに対し、中国の足どりは重い。北朝鮮を孤立させないという主張の背後には、北朝鮮との関係が見え隠れする。
 新空港の建設を中国が受注し、それに合わせるかのようにアンコールワット入場券売り場が移転し、その前に北朝鮮の収入になる博物館。あまりに、露骨な話ではないか。
 アンコールワットの入場券売り場のすぐ後ろには、ソカアンコールリゾートという客室が700を超えるホテルが完成した。ソカホテルグループは、アンコールワットの入場券事業を運営している会社である。
 ここで空港とホテルをアンコールワットに絡めた導線ができあがったわけだ。ソカホテルグループはカンボジアの会社だが、背後ではベトナムに通じているとカンボジア人はいう。
 アンコールワットからあがる収入をめぐってさまざまな国が蠢く。
 その結果が37ドルへの値あげ?
 そういうことなのだろうか。

■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=インドネシアの列車旅。ジャワ島編からスマトラ編へ。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。インドネシアの列車旅の連載がはじまった。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記


Posted by 下川裕治 at 11:32│Comments(0)
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