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ナムジャイブログ

2018年04月02日

列車に乗るということ

 今日(4月1日)、碓氷峠の廃線跡を少しだけ歩いた。この廃線跡は、トンネルが多い。穏やかな春の日射しに目を細めていたかと思うと、急に暗いトンネルに入る。ひんやりとした空気……。気温差は10度ぐらいある。体感気温差が激しい廃線跡歩きだった。
 廃線跡を歩くつもりはなかった。
 軽井沢でカーリングを体験した。冬のオリンピック競技のなかで、僕でもできそうなものは、カーリングぐらいだと思ったのだ。しかし甘かった。カーリングの靴は、左右の底が違う。右の靴には滑り止めがついているが、左の靴はよく滑る。氷上でなかなか安定しない。その体制でストーンを投げる。思うようにはいかない。しかしなかなか面白かった。
 その帰り道で廃線跡を目にしたのだ。
 気候がよくなったせいか、廃線跡を歩いている人は多かった。
 僕は鉄道によく乗る。アジアの列車や日本のローカル線の乗車体験をまとめた本も何冊かある。周りから「鉄道好き」と思われるのもしかたないが、本人にはそんな意識はない。廃線跡にはあまり興味がない。
 今日、三江線が廃線になった。三江線は島根県の江津と広島県の三次を結ぶ108.1キロの路線だ。最後の運行はよくニュースになる。鉄道ファンが車内やホームを埋め涙を流す人もいる。
 僕はその感覚もよくわからない。廃線になることは寂しいことだが、どこか鉄道を擬人化していく発想には違和感を覚える。
 鉄道は、走ってなんぼのもの……そう思う。鉄道や列車のメカニズムにはあまり興味がない。列車に乗っていて、僕の視線はその乗客に向けられる。さまざまな人が乗り込み、知らない駅で降りていく。そんな光景をぼんやり眺めながら列車に乗っている時間は気に入っている。
 東南アジアの鉄道路線をすべて乗る……という企画を細々と続けている。昨年、その中のタイとミャンマー編が本になった。残っているのは、インドネシアと台湾の一部である。ミャンマーにも乗り残した路線が若干ある。
 6月までには乗りつぶそうと思っているのだが、カンボジアに続いて、ベトナムでも新しい路線が開通するという情報が舞い込んできた。早く本を出さないと、いつまでたっても企画が終わらない。
 知らせてくれる知人はありがたいが、そのメールが届く度に、気分が萎えていく。全路線を走破するという企画は、鉄道ファンのもので、ただ車内や車窓を見ていたいという僕には向いていないのではないか……そんな気もするのだ。
 鉄道が厄介な代物に見えてくる。しかし列車に乗り込むと、どこか家に帰ったときのような安堵がある。鉄道は不思議なものだ。

■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=玄奘三蔵が辿ったシルクロードの旅がはじまります。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。インドネシアの列車旅の連載中。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記


Posted by 下川裕治 at 12:37│Comments(1)
この記事へのコメント
完全制覇!…(仮)
でもいいので旅の話を読みたいです。

どうしても生き物のように
生まれては死んでしまう
路線があるのでしょうが
終わらない物語を読めるのは読者としては嬉しいです。

「終わり」よりも「続く」の方が有り難いです。
Posted by たぬきまるだいすけ at 2018年04月13日 13:32
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